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稲見萌寧を賞金女王に導いたコーチ 情に流されない信念「怒っていても態度変えない」

賞金女王決定で2人は涙、稲見「泣くつもりはなかったですが…」

「調子が悪くなると、口をきかなくなるんです。そういうのは腹が立つので(笑)。僕は本人が怒っていようが、態度を変えませんからね。オリンピックの後、いい意味で(稲見は)変わらないけど、僕に逆らうことは増えました。でも、反論してくると潰しにいきます。そういうのをやらないと、ダメな子なんです。(コーチが)イエスマンになるのはよくないですし」

 ただ、今大会中はそのLINEをきっかけに「お互いの意見が合うまで話し合う」と決めた。最終Rの3番でダブルボギー、4番でボギーをたたいても焦らず、2人で目の前の一打に集中。そして、16番パー3はバンカーからパーセーブ、17番パー4は第2打をピンに絡めてバーディー。難関の最終18番パー4は、グリーン奥から柔らかいアプローチでピンチをしのぎ、9位でホールアウト。稲見自身が「あの3ホールは本当に頑張りました」と言うほどに力を振り絞った。

 約1時間後、賞金女王が決まると、2人は手を取り合って喜んだ。奥嶋コーチの目に光るものを見つけると、稲見も涙を流した。

「泣くつもりはなかったのですけど、もらい泣きしました。本当に喜んでもらえたので、恩返しができたのかなと思います。助けてもらいましたし、それに応えられて良かったです」

 どの競技でも、選手が突出した成績を上げると、周囲から必要以上に気を遣われる傾向はある。師弟の力関係が逆転することもあるが、19歳上の奥嶋コーチは信念を曲げず、時に心を鬼にして稲見に接してきた。そして、今後の稲見についても「厳しさ」を持って言った。

「本人が望む永久シード(30勝)目指して、コツコツ調子に乗らずにやっていけば、もっといい選手になっていくと思います」

 情に流されず、プロに徹した41歳。会見では「来季、僕がやるかはまだ分からない」と言ったが、稲見には必要不可欠な存在になっている。

■奥嶋誠昭(おくしま・ともあき)
1980年3月26日、神奈川県生まれ。東京・堀越高卒。2011年から、横浜市内の「ノビテック・ゴルフスタジオ」に勤務してアマチュアを指導。18年からは、男子15勝の谷原秀人らツアープロも指導。同12月に稲見と契約し、現在は高橋彩華、今季2勝の木下稜介のコーチも務めている。

<国内女子ゴルフツアー・平均ストローク歴代トップ5>
(1)申ジエ 69.9399/86R(2019年)
(2)稲見萌寧 70.0514/135.5R(2020―2021年)
(3)イ・ボミ 70.0922/89R(2016年)
(4)鈴木愛 70.1052/75R(2018年)
(5)申ジエ 70.1317/91R(2018年)

(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)

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