靭帯2本同時断裂から2年 手術、応援団長経て…復活した秀才ジャンパーの現在地「自分が大学院生として残る意味」――筑波大院・柾木拓
8日から4日間、神奈川の相模原ギオンスタジアムで行われた陸上の第104回関東学生競技対校選手権(関東インカレ)。熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は男子3部・走り幅跳びに出場した筑波大院の柾木拓(1年)。靭帯を2本同時断裂してから約2年。戻ってきたロングジャンパーが現在地を語った。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

陸上・関東インカレで輝いた選手たち 男子3部・走り幅跳び/筑波大院・柾木拓(1年)
8日から4日間、神奈川の相模原ギオンスタジアムで行われた陸上の第104回関東学生競技対校選手権(関東インカレ)。熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は男子3部・走り幅跳びに出場した筑波大院の柾木拓(1年)。靭帯を2本同時断裂してから約2年。戻ってきたロングジャンパーが現在地を語った。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)
大怪我を乗り越えた秀才ジャンパーがピットに戻ってきた。2本目の跳躍。フューチャーブルーのユニホームを着た柾木は、踏み切り板ピッタリで跳び上がり、6メートル72(追い風2.3メートル)を記録した。「思うようにいかなかったというのが一番だけど、対抗戦のユニホームで試合に出て『やっと復帰したな』という気持ち」。悔しさを滲ませたが、また一歩前進した。
神奈川の名門・法政二高出身。7メートル59の自己ベストを持ち、高校3年時には全国3位の実績を誇る。筑波大から同大学院に進学し、今も理想の跳躍を追い求めている。
自己ベスト更新に手応えを感じていた大学3年の7月、悲劇が襲った。大会中の跳躍で左足の靭帯を2本同時に断裂。手術を余儀なくされた。大学ラストイヤーを棒に振り、昨年の関東インカレは応援団長として母校を応援。そこから1年かけてここまで辿り着いた。

「跳ぶ」ことを再開したのは、大学卒業間近の今年1月。最初は階段を下りる動作から始めた。立ち幅跳び、2歩助走……と地道に練習。4月の復帰戦で7メートル11を記録し、今大会の出場権を手に入れた。
研究熱心な性格で、常に理論を立てて競技と向き合う。自身の怪我の事例について論文作成も視野に入れる頭脳派だ。そんな柾木にとっても、この怪我は難解だった。「本気を出さないと解決できないことに初めて直面したような感じ」と表現する。