室温-15℃、汗も出ない極寒リンクに同世代は不在…フィギュア小国・北海道で西本那音が励む理由
フィギュアスケートの全国高校選手権(インターハイ)が1月20日から3日間、神奈川・KOSE新横浜スケートセンターで行われた。全国から実力者たちが集結。「THE ANSWER」では文武両道で競技に励む選手、練習環境に恵まれない中で出場を掴んだ選手などをピックアップする。

フィギュアスケート全国高校選手権
フィギュアスケートの全国高校選手権(インターハイ)が1月20日から3日間、神奈川・KOSE新横浜スケートセンターで行われた。全国から実力者たちが集結。「THE ANSWER」では文武両道で競技に励む選手、練習環境に恵まれない中で出場を掴んだ選手などをピックアップする。
芽室高・西本那音(なおと・1年)は男子ショートプログラム(SP)で35.28点。フリーに進めなかったが、初のインターハイで貴重な経験を積んだ。北海道・十勝に同世代の男子選手はおらず、自分ただ1人。冬場はマイナス15度にもなるスケートリンクで練習を積む16歳に、フィギュアスケートに励む理由を聞いた。
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SP曲に選んだのは「Ballade No.1 in G Minor Op23」。ブルーパープルの衣装をまとい、しなやかなスケーティングを披露した。3回転トウループで転倒するなど不本意な部分もありながら、憧れの羽生結弦さんも演じた“バラ1”を完遂。「インターハイで成績を残すことが目標だった。全然ダメでした」と演技後は反省が口に出た。

十勝平野の西部に位置する町民数1万7773人の芽室町出身。「おいしいものがいっぱいあります」と笑う。羽生さんのファンだった母の影響で、6歳でスケートを始めた。
スピードスケート、アイスホッケーなど冬季スポーツは盛んな一方、北海道のフィギュアスケート人口は少ない。西本の周囲に、同年代の男子選手はいないという。
現在は「北海道FOREST.F.S.C」に所属。練習拠点は「帯広の森アイスアリーナ」で、寒い時には室温がマイナス15度まで下がる。「マジで寒いです。汗をかくこともない」。過酷な環境でも、フィギュアスケートを続ける原動力がある。
「今日みたいにダメな日があっても、いつかはできる日がくる。いつか良い演技ができると信じて毎日練習することが楽しい」
まだ1年生、リベンジの機会がある。「来年は自分の演技をすること。出直してきます」。気持ちはもう前向き。北の大地で、厳しい寒さと戦いながら実力を伸ばす。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)