[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

Jリーグ得点王佐藤寿人、高知の高校生に語った海外移籍話の葛藤「本当の喜びを感じられるか」

指導だけでなく、現役時代の海外移籍のエピソードなどを高校生たちへ披露した【写真:荒川祐史】
指導だけでなく、現役時代の海外移籍のエピソードなどを高校生たちへ披露した【写真:荒川祐史】

現役時代の海外移籍をめぐる“お宝エピソード”披露に高校生も興奮

 その後、選手たちから佐藤さんに「うまく行かなかった時、負けてしまった時にどうやって気持ちを切り替え、どういった行動をとればいいですか」と質問。佐藤さんは「まずは個人のパフォーマンス、チームのパフォーマンスというところに分かれるけど、一番大事なのは“自分がどうだったのか”ということ。チームを勝たせるために何ができるのか。まずは自分を良くすることに注視する。サッカーだからうまくいかないことがあるのは当たり前。その悔しさを積み上げていってほしい」と負けた時こそ自分を見つめ直すことの必要性を伝えた。

 さらに「現役時代、海外に移籍するという選択肢はなかったのですか」といった質問も。これについて「欧州に行くという選択肢はありました」と答えると、選手たちからは「おーっ!」といった声も上がった。

「若いうちに海外に行ったほうがいいのはわかっていたけど、自分はJリーグでも結果を残していなかった。そのうち、Jリーグで結果を出せるようになり、日の丸をつけて(日本代表として)プレーするようになって、2010年が終わった後にクロアチアのディナモ・ザグレブからオファーがありました。当時のDザグレブはリーグ5連覇中で、チャンピオンズリーグにも出場するようなチームでしたから魅力はありました」

 真剣な表情で話を聞く選手たちに対し、佐藤さんは葛藤があった当時の思いも語った。

「でも、良く知らない街のチームに行って活躍したとしても本当の喜びを感じられるのか。自分の中で『それはないな』と。サンフレッチェで何もタイトルを取っていないし、やっぱりクラブでタイトルを取りたい気持ちが強かったんです」

 こんな佐藤さんの“お宝エピソード”を聞いた選手たちは大興奮。佐藤さんは最後に、選手権予選を控える選手たちに「選手個々が力を上げていくことでチームは強くなる。でもサッカーは一人ではできない。個人にフォーカスしていきながら、多くの人と多くのことを積み上げていくことを大事にしてサッカーに向き合っていってほしいと思います」といった言葉を送った。

練習終了後に佐藤さんがプレゼントした「己に克つ」という言葉が入った応援フラッグとともに記念撮影した【写真:荒川祐史】
練習終了後に佐藤さんがプレゼントした「己に克つ」という言葉が入った応援フラッグとともに記念撮影した【写真:荒川祐史】

 練習終了後、選手たち個別にポカリスエットのスクイズボトルを手渡し、チームにサイン入りのジャグタンクを贈呈。さらにサプライズとして、佐藤さんが今回考えた「己に克つ」という言葉が入った応援フラッグもプレゼントした。フラッグにサインを入れている姿を見ていた選手たちは感激の面持ちだった。

 本来ならこれですべてのメニューは終わりとなるはずだったが、佐藤さんの提案で“延長戦”を急遽実施。ゴールラインから蹴ってもらったボールをペナルティーエリア手前でトラップし、ゴールを狙う「イングランド式シュート対決」を2人の選手と行った。「負けられない」と意気込んで臨んだ佐藤さんだったが、結果は2人の選手の勝利。「あ~、悔しい!」と負けず嫌いなストライカーらしい一面を見せてグラウンドを後にした。

 指導が終わった後に取材に応じた佐藤さんは「皆さん、挨拶もしっかりしてくれたし、スポーツ以外の人間力というものを感じました。最初は硬さも見られたけど、自分が伝えたことをすぐに吸収して、形にしてくれたのはうれしかったですね」と感想を口にした。さらに「サッカーは一人ではできない。多くの人とつながりを持つことで積み上げていくことでチームは一枚岩になる。仲間を、そして自分を信じて、これからの試合に向き合ってほしい」とエールを送った。

(THE ANSWER編集部・瀬谷 宏 / Hiroshi Seya)

1 2 3
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
UNIVAS
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集