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なぜ、ナダルは復活できたのか 専門家分析「“蟻地獄”スタイル戻った」

転機となった新コーチとの出会い「生命線のフォアハンドが強化された」

 そんな苦境で流れを変える転機となったのが、新たなコーチとの出会いだった。

 昨年12月に元世界ランク1位で1998年に全仏オープン優勝を果たしている同胞のカルロス・モヤ氏をコーチに招聘。これまで二人三脚でキャリアを築いてきた叔父でコーチのトニ・ナダル氏は、今季限りで育成組織「ラファ・ナダル・アカデミー」の運営に集中する方針を発表した。

「『速いテニス』へのシフトが上手くいかず、さすがのナダルも試行錯誤してなかなか勝てない時期が続きました。ただ、カルロス・モヤコーチの陣営入りが大きなきっかけになった印象があります。現役時代に対戦経験があり、地元マジョルカ島の先輩でもあるモヤコーチとともに、『まずはフォアハンドをしっかりと打てるようにしよう』という原点回帰によって、ナダルの生命線だったフォアハンドのストロークが今シーズンは強化されています」

 綿貫によれば、本来の武器が威力を取り戻したことで、相乗効果も生まれたという。

「バックハンドのクオリティも上がりましたね。ラリーする立ち位置もベースライン上から以前のように2メートルから3メートル離れた地点に戻しました。速い展開のテニスではなく、まずはボールの威力を確保して、相手に攻撃させないようなテニスをする。ナダルらしい試合運び、力強いプレーが戻ってきたと思います」

 今季序盤はタイトルこそついてこなかったが、復活への兆しはあった。

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