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フィギュアスケートのジャンプの見分け方 初心者でも6種類がわかりやすくなる方法

必ずしも「ハの字」ではなくなってきたサルコウ

――私がフィギュアの取材を始めた時に教えてもらったのがハの字です。

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「最近はハの字ではなくなってきている選手もいます。例えば、ハの字に見えなくて四角形に見える選手もいます。一人一人の跳び方があって、必ずしも、そうとは言えません。左足に乗って片足で跳んでいるイメージです。右足のエッジは氷につかず、浮かせて振り上げて跳びます。

 ループは実際には最後に片足で跳ぶのですが、両足で後ろに(体重をかけて)腰掛けたような姿勢になったらループと思ってください。これもトウループと同様にセカンドジャンプで入れる選手も多い。その分、得意とする選手の方が少ないかもしれないということです。私の時代も女子には苦手な選手が多かったです。タイミングが難しいジャンプなんです。踏み切る時はギリギリまで両足ですが、後ろに腰掛けて跳んで、手と足のタイミングがうまく合わないと回れない。逆にセカンドジャンプとして取り込んだときの方が、タイミングが取りやすくて、うまくいくこともあります。

 フリップとルッツの見分けが一番難しいと思います。私が見ていても『どっちだろう?』と思うこともあります(笑)。ルッツは昔みたいに『バックスケーティングで滑ってきて、構えて、さあ跳びますよ』なんてわかりやすい選手が最近すごく減りました。というのも、このご時世のルールでトランジションといわれる演技のつなぎの部分がすごく重要視されているのです。

『さぁ、ルッツを跳ぶぞ』と構えている選手も少なくなってきたと思います。それも跳び方としては大事ですが、最近は羽生選手のように本当にステップを踏みながら跳んでしまうので慣れていないと見分けが難しいと思います。初めての方がスローモーションで見るとすれば、両方とも右足のトウをつくのですが、左足のエッジが内側に倒れているか、外側へ倒れているかの問題、見分けるのはすごく難しいです」

――私が教えてもらったのは、構えながら跳ぶのがルッツ、まっすぐ前に向かってくるっと180度体を回して跳ぶのがフリップという感じで見分けています。

「そうですね。おっしゃる通りです。選手自身も跳び分けも苦労されている人もいるので、私が見ていても分からないことがあります。でも、突然前を向いてくると180度回って跳ぶのがフリップです。また、体を内側に倒したのがフリップで、外側に倒れているのがルッツですね。ルッツの方が構える時間がちょっと長いかなとイメージを持っていただいて構いません」

――これまで美しいジャンプを跳んでいたスケーターの中で、プログラム全体を通して美しいジャンプを跳んでいると言えるのは誰でしょうか。

「最近になってしまいますが、羽生選手の『ピアノコンチェルト』は作品の一部のようにジャンプを跳び、まるでステップの一部のようにジャンプを跳んでいたので、やっぱりあれは非の打ち所のないプログラム、およびジャンプだったと思います。本当にジャンプと言わずにもう“プログラム”ですね。一つのパッケージとして、すべてがまとまり、流れの中で終わった形で一番印象に残っています。『いやあ、すごいな』と思わずペンを取るのも忘れたほど。鳥肌ものでしたね」

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中野 友加里

THE ANSWERスペシャリスト フィギュアスケート解説者

1985年8月25日生まれ。愛知県出身。3歳からスケートを始める。現役時代は女子史上3人目の3回転アクセル成功。スピンを得意として国際的に高い評価を受け、「世界一のドーナツスピン」とも言われた。05年NHK杯優勝、GPファイナル3位、08年世界選手権4位など国際舞台でも活躍。全日本選手権は表彰台を3度経験。10年に現役引退後、フジテレビに入社。スポーツ番組のディレクターとして数々の競技を取材し、19年3月に退社。現在は講演活動を行うほか、審判員としても活動。15年に一般男性と結婚し、2児の母。YouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」も人気を集めている。

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