[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

女子ゴルフ選手の活躍期間が短くなった理由 丸山茂樹「自分で修正できるコックピットがない」

丸山茂樹は渋野日向子ら女子選手へ修正のアドバイスを送った【写真:田邉安啓】
丸山茂樹は渋野日向子ら女子選手へ修正のアドバイスを送った【写真:田邉安啓】

コーチ、キャディーがいても大事な自力「依存は良くない」

 一方で、彼女たちのような若きトッププロが、活躍する期間が短くなっている現実があります。国内女子ツアーを見ても、高卒1年目、2年目で優勝するのはいいのですが、5年もすると、シード権を失う選手が多く出ています。そして、また新たな選手が出てくる。言い方を変えると「世代交代が激しい」ですが、これでいいのでしょうか。

【注目】育成、その先へ 少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信する野球育成解決サイト『First-Pitch』はこちらから

 理由は壁に当たった時に、自分自身を修正できる「コックピット(操縦席)」がないからです。何かのエンジントラブルが起きた時、「こういう風にすれば元に戻れる」というものがない。だから、次の出航でもうまくは飛べないのです。

 気づかなかった修正点をコーチに見つけてもらうということはあるでしょう。しかし、私は「どんな依存も絶対に良くない」と思いながらゴルフをしてきました。依存ばかりをしていると、ますます、自力で戻れなくなるからです。コース上では自分次第ですし、グリーン上でもキャディーさんに依存していると、自分で読む力が薄れてきます。逆に持っているクセも含めて自分自身を知っていれば、誰かに少しアドバイスを受けると、すぐに修正できるようになるのです。

 男子の場合、試合に出られるまでが大変なので、コツコツとコックピットを築いた選手が多くいます。だから40代、50代でも上位でやれる選手が少なくないのです。ただ、女子でも40代の大山志保さん、李知姫さん、30代半ばの上田桃子さんが頑張っていますし、若い選手たちには、彼女たちをお手本に、どうすれば自分を知り、自力で修正できるようになるかを考えてほしいと思います。せっかくの秀でた能力を失わないためにも。

――渋野のスイングについて

 前のスイングに戻りつつある印象です。今年、大胆な改造をして超コンパクトにしたのは事実ですが、今は十分にバックスイングが上がっていて、改造前と改造後の間にあるスイングになっていますね。本人が納得していれば、それはそれでいいと思います。

――自身のプレーは

 左指を痛めて10年以上になります。その間もケガが続いて、左肩の腱断裂で手術も受けました。肩が良くなったら、今度は首が痛くなったりで、(2019年以来)シニアの試合に出るという夢からは遠ざかっています。

 実は、小さい頃はアレルギー体質で、強い薬を投与していました。中1の時、医者には「薬の影響で40歳ぐらいから体にいろんなことが起きる」と言われていて、その通りになっています。だからこそ、30歳になってPGAツアーに参戦してからは「自分には期限がある」と思い、9年間はかなりストイックな生活を送ってきました。だからこそ、小6で初めてジュニアの大会に出て、2009年の日本シリーズJTカップで優勝するまでの約30年間については、自分で自分を褒めたいと思っています。

(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)

1 2

丸山茂樹

プロゴルファー 
1969年(昭44)9月12日、千葉・市川市生まれ。日大で活躍し、アマ37冠で92年にプロ転向。「マルちゃん」の愛称で親しまれ、国内ツアーで9勝後、00年から米ツアーに本格参戦。同ツアーでは通算3勝で、09年には日本シリーズJTカップで国内ツアー10勝目を飾った。また、02年には伊澤利光とのコンビで、EMCゴルフワールドカップを制している。海外メジャー大会の最高成績は04年全米オープン4位。現在は、ゴルフ中継の解説などメディアで活動し、一般財団法人丸山茂樹ジュニアファンデーションの代表理事として、ジュニアゴルファーの育成にも力を入れている。16年リオデジャネイロ五輪、今夏開催の東京五輪では、ゴルフ日本代表の監督を務めた。
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集