月経が「4年間止まっていた」 五輪金メダルの裏で起きていた体のSOS、胸に刺さった母の言葉――レスリング・藤波朱理

「競技後の人生のほうが長い」母の言葉に背中を押されて病院へ
無月経になった1つの要因として思い当たるのは、試合に向けた減量だ。
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「高校の時から走ったり、運動量はすごく多かったのですが、やっぱり大学に入ってから、かなり減量がきつくなってきたなという印象はありました」
本人曰く、高校生の時はどんなに食べても「カリカリ」の体型で脂肪がつきにくかったが、大学生になってからは体重が増えやすくなったと感じるように。実際に大学に入ってからは、通常60~61キロの体重を、試合の2か月前から53キロに向けて、7、8キロ落とすことが必要になった。
ただ藤波自身は、減量について苦しいといったネガティブな感情を抱いておらず、2か月前になれば「自分の中でスイッチが切り替わって」完璧にカロリー計算をしていた。「お米も1グラム単位まで量っていました。私の場合、決まった食事しか摂らないという形ではなく、カロリーの範囲内ならOKというやり方でやっていたので、結構楽しみながらメニューを考えていましたね」と振り返り、「私、毎日記録をつけるのが好きなんですよ」と笑う。
公式戦のマットに立てば着実に連勝記録を伸ばし、減量にも常に前向きに取り組んでいた。レスリング選手として、ストレスもプレッシャーもまったく感じていなかった。だから大学に入って月経が完全に止まり、「あ、これはヤバいかも」とは思っても、医師の診察を受けることは考えていなかった。
しかし、母の千夏さんの言葉に考え方を改める。
「母には(無月経のことを)相談しましたが、やっぱりすごく心配していました。『競技はもちろん大切だけど、それが終わってからの人生のほうが長いんだよ』って言われて。その時の自分はもうレスリングしか見ていないですし、オリンピックで金メダルを獲った後のことなんて考えてもいなかったのですが、母は女性として、将来のことを考えて心配してくれていました。私自身はまだ『そうか』くらいの感覚でしたが、それからJISS(国立スポーツ科学センター)に通うようになったんです」
JISSスポーツクリニックの婦人科では、骨密度を含め検査を実施。その結果、身体的な異常は見られないことが分かった。
無月経を引き起こす原因には、もちろん個人差がある。例えば女子アスリートは、運動によるエネルギー消費量が、食事によるエネルギー摂取量を上回る「利用可能エネルギー不足」を指摘されることが多い。藤波の場合、さまざまな検査結果から「メンタル面の影響」が考えられ、医師からは「パリオリンピックまではこのまま様子を見て、終わっても月経が来なかったら他の治療も考えましょう」という提案を受けた。
「選手ファーストで考えてくれる先生だったので、すごくありがたかったです」。藤波は、通院しながらパリ五輪の舞台を目指すことになった。
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