東京五輪女子バスケ主将のあまり知らない顔 髙田真希が30歳で“選手兼社長”になった理由
「TRUE HOPE」の社名に込めた熱い想いとちょっとした遊び心
4月で丸2年を迎える社長業。「TRUE HOPE」という社名には髙田の原動力となる熱い想いと、ちょっとした遊び心が込められている。
「『TRUE』は『真実』のほかにも『本当の』という意味があって『HOPE』は『希望』。私は『本当の希望=夢』だと思うので、みんなが夢を実現する場所を提供したいという想いを込めました。私自身はバスケットボールの普及や、いろいろな人を笑顔にしたいという夢を叶える。そして、バスケットボールをやっている子どもたちに自分の経験を伝えながら、子どもたちが夢を実現するサポートをする。そんな想いを込めながらも、『真希』という自分の名前をもじってもいます(笑)。最初は照れがあったんですけど、今となっては馴染んでいますし、話のタネにもなるのでよかったなと思います」
会社のロゴは、ブルーのグラデーションで彩られた一対の翼。「女性らしい美しさといろいろな夢を羽ばたかせたいというイメージを伝えてデザインしていただきました」。オンラインストアで販売されるマスクやTシャツ、パーカーなどロゴ入りオリジナルグッズは大好評だ。
社名やロゴを考えたり、事業計画書を書いたり、会社を立ち上げて運営していく過程はまったく未知のものだった。そういう新たな経験から得る学びは、バスケットボールの中でも生かされている。
「本当にずっとバスケットボール一筋でやってきたので、私にその他の知識が足りなくて、大変なことや理解に苦しむこともありますけど、それも含めて新しく学べる経験が楽しくて、やり甲斐も感じます。会社でもバスケットボールでもプライベートでも、向上心を持って挑戦することはすごく大切だなと。知らないことを知ることが自分の身となり、いろいろな場面で還元できると思うんですよね。
いちプレーヤーとしての私は32歳で、年齢的には引退がどんどん近づいてくる。昔は問題なく動けていたのに、今は体のどこかに痛みを抱えながら試合に出ることもあります。だからこそ、向上心や挑戦する気持ちを失うと、より引退に近づいてしまうと思うんです。バスケットボールを始めた時から、上手くなりたい、こういう選手になりたい、そのためにはこれをしよう、という向上心と挑戦を大切にしてきました。
会社としていろいろなことに挑戦する向上心も同じ。会社として挑戦しているから、プレーヤーとしてもっと磨こうと思う部分はたくさんあります。両方をやっていくことで生まれる相乗効果を感じるので、やってよかったなって思います」
そう言うと、一点の曇りもない晴れやかな笑顔を見せた髙田。向上心と挑戦する気持ちをエネルギーとして、今日も夢に向かって大きく羽ばたき続ける。
(後編へ続く)
■髙田 真希 / Maki Takada
1989年8月23日生まれ、愛知県出身。小学5年からバスケットボールを始め、中学までは空手と両立。空手も全国大会で優勝するほどの実力者だった。バスケットボールの強豪・桜花学園高(愛知)では3年時はエースとしてインターハイ、国体、ウインターカップの3冠を達成した。2008年にデンソーアイリスに加入し、ルーキーシーズンから28試合に出場して新人王を獲得。2009年に日本代表チームに初選出される。ゴール下の攻撃や守備を担うセンターとして活躍し、2016年リオデジャネイロ五輪ではベスト8進出に貢献。2018年から主将となり、その翌年にアジアカップ4連覇を達成すると、2021年の東京五輪では銀メダルを獲得した。「株式会社TRUE HOPE」の社長として、競技の普及にも努める。
<3月6日に「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」オンラインイベント開催>
女子選手のコンディショニングを考える「女性アスリートのカラダの学校」を6日に開催。第1部は「月経とコンディショニング」をテーマに元陸上日本代表・福士加代子さんをゲストに迎え、月経周期を考慮したコンディショニングを研究する日体大・須永美歌子教授が講師を担当。第2部は「食事と健康管理」をテーマにボクシング東京五輪女子フェザー級金メダリスト・入江聖奈をゲストに迎え、公認スポーツ栄養士の橋本玲子氏が講師を担当。1、2部ともにアスリートの月経問題などについて発信している元競泳日本代表・伊藤華英さんがMCを務める。参加無料。応募は「THE ANSWER」公式サイトから。詳細(https://the-ans.jp/event/224770/)。
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)