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産前の飛行機移動も「いつまでなら大丈夫か」 妊婦として体験した“ママアスリートの課題”

阿部は一人で抱えこまなくていい環境がさらに整っていくことを願っている【写真:荒川祐史】
阿部は一人で抱えこまなくていい環境がさらに整っていくことを願っている【写真:荒川祐史】

育児とトレーニングの両立は「想像以上に大変」

 出産後、今度は育児とトレーニングに取り組んでいく。一日が子ども中心のスケジュールになることは分かっていながらも、「想像以上に大変」だと語る。

「夫も仕事があってなるべく早く家に帰ってくれるのですが、どうしてもワンオペになる時間が長くなります。左腕のハンディキャップもあって、腱鞘炎にもなりました。子どもはまだ保育園に入っていないので、一時保育で預かってもらえるときにトレーニングに行くようにしています」

 自分の時間に限りがある分、その使い方がうまくなっていることも確かだ。頭で整理しながら効率良くやっていくことで、トレーニング自体のパフォーマンスも上がる。そして何より子どもの存在が奮い立たせてくれる。

「つかまり立ちをするようになってなおさら目が離せなくなって大変ですけど、もの凄いスピードで成長していくんだなって実感しています。ハイハイできなかったのに、次の日にできるようになったときも、赤ちゃんは凄いなって。どうして私は次の日にできないんだろうって思ったこともありましたよ(笑)。毎日の成長を見ることができるのは、本当にうれしいですね」

 ママアスリートの集まりにも参加して、悩みや情報も共有できている。一人で抱えこまなくていい環境がさらに整っていくこと。それが彼女の願いでもある。

 阿部が活躍できれば、その道に続くママアスリートに希望を与えることにもつながる。

「ちゃんと(成功の)事例をつくって“やれることはやった”と思って競技生活を終えていくことができたらいいなって、そこは凄く感じていますね」

 使命感を胸に、次のパラリンピックへ――。

(二宮 寿朗 / Toshio Ninomiya)


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二宮 寿朗

1972年生まれ、愛媛県出身。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2006年に退社後、「Number」編集部を経て独立した。サッカーをはじめ格闘技やボクシング、ラグビーなどを追い、インタビューでは取材対象者と信頼関係を築きながら内面に鋭く迫る。著書に『松田直樹を忘れない』(三栄書房)、『中村俊輔 サッカー覚書』(文藝春秋、共著)、『鉄人の思考法~1980年生まれ戦い続けるアスリート』(集英社)、『ベイスターズ再建録』(双葉社)などがある。

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