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テニス選手と月経の関係性 杉山愛が引退後に直面した「女性としての体」の苦悩

直面した“女性としての体”、流産・不妊治療も経験「過去の経験とは全く別物」

 私は選手時代、誰よりも自分の体と向き合い、ケアをしてきたという自負があります。ただ、それほど月経痛に苦しんだ経験がなかったので、今思えば“女性としての体”と深刻に向き合うことはありませんでした。

 初めて真剣に考えたのは結婚後です。私は36歳で結婚。妊娠・出産を考えたら時間は限られていると思い、専門医のドアを叩き、自分の体は妊娠できるのかを検査しました。結果は良好、ほどなく妊娠もしましたが、その後、流産。40歳で出産するまで、体質改善のためにいろんなことを試し、不妊治療にも通い続けました。

 この間は本当に肉体的だけでなく、精神的にも、かなりつらかった。自分が正しいことを100%していると思っても、結果が出ないという怖さ。これは、仕事やスポーツではないでしょう? スポーツなら勝てなくても、変化だったり、いい感覚だったり、何かしらは手応えを感じられる。それに、何が良くて何が悪かったのかも自分で判断できます。でも子どもは授かりもの。何をしても「どうなるかはわからない」んです。ここを乗り越えるタフさは、過去に経験するものとは全く別物でした。

 また、出産後に順天堂大学の大学院で学び、女性の体を理解する指導者の重要性を認識。女性スポーツのマネジメントに特化した活動をする小笠原悦子先生の研究室で学ぶなか、アスリート時代に自分の体で経験してきたことは現場に生きるし、窓口になって相談にも乗ってあげられるのではないか、と考えるようになりました。

 日本では昔はそれこそ(追い込みが足りないという意味で)「まだ生理があるのか?」という発言も飛び出すのが競技スポーツの世界でした。本来、そんな発言は決してあってはいけないこと。競技によって差はあると思いますが、今は女性の体について積極的に学ぶ指導者も増え、だいぶ現場の様子も変わってきていると感じます。

 アスリート自身は、パフォーマンスが上がらないなかでも結果を出さなくてはいけない、ベストを追求するがために、女性としての機能を害する状態まで追い込んでしまう人もいると思います。でも、どうすればいいパフォーマンスを出せるかと同時に、骨粗しょう症や無月経など、女性としての体の機能を損なわず、引退後の長い人生も充実して過ごせるか? を考えることも大切です。

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

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