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競技以外は「やったことないことに凄く臆病」 三屋裕子と考える女性アスリートの課題

井本さんはアスリートの発言の力について「競技以外のことについて発言する文化はまだ制限されているような気がする」【写真:中戸川知世】
井本さんはアスリートの発言の力について「競技以外のことについて発言する文化はまだ制限されているような気がする」【写真:中戸川知世】

「自分の半径2~3メートルだけで暮らしている思考はよくない」

井本「そうですね。最近の選手は昔に比べて、もっと意見を言わなければいけない、リーダーシップを発揮していかなければいけないと考えている人もいると思います。でも競技以外のことについて発言する文化はまだ制限されているような気がするので、それだと考える習慣、力さえ育たない。また、30代、40代の元アスリートの女性たちも『もっと頑張らなくてはいけない』という気持ちはありつつ、やり方がわかっていないような印象があります」

三屋「やはり、自分の半径2メートル、3メートルだけで暮らしているような思考ではよくない。自分の活動範囲を広げるという思考を持って行動することは、キャリアを築くうえですごく大事です。自分はどんな人間になりたいのか? というセルフプロデュースをすることがなぜ大切か。それは、いちばん小さなリーダーシップとは、自分自身に対して発揮されるからです。人に声掛けをする前に、自分自身に対し、どういう言葉かけをしますか? という問いかけは必要。自分に対する言葉かけが変わるだけでも、他者に対する行動が変わり、そこから他者へのリーダーシップが生まれてきますから」

井本「三屋さんはご自身に対し、どんな声かけをしていたのでしょう?」

三屋「私はいつも『逃げるな、逃げるな』と言っています。これは、選手時代、練習に行くときにいつも言っていた言葉です。練習に行かないとうまくならないぞ、できるものもできるようにならないぞ、何も生まれないぞと。一番行きたくないところに行かないと、ダメだぞと自分に言っていました。今でもこれは、変わっていません」

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■三屋 裕子 / Yuko Mitsuya

 福井県出身。中学からバレーボールを始める。八王子実践高から筑波大に進学後、1981年、日立女子バレーボール部(当時)に入部。大学時代から女子日本代表の主軸として活躍し、1984年ロサンゼルス五輪では銅メダルを獲得。引退後、國學院高の教員を経て、学習院大助手、講師に。同大バレー部の指導をする傍ら、全日本ジュニアチームのコーチを務めた。1992年、筑波大大学院に進学。その後、筑波スポーツ科学研究所副所長に就任。日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)理事(1998~2006年)、日本バレーボール協会理事(2007~2013年)を経て、2015年、日本バスケットボール協会副会長に就任。現在、日本バスケットボール協会会長、国際バスケットボール連盟理事を務める。また、2004年以降、上場企業・銀行等で社長、社外取締役を歴任する。

■井本 直歩子 / Naoko Imoto

 東京都出身。3歳から水泳を始める。近大附中2年時、1990年北京アジア大会に最年少で出場し、50m自由形で銅メダルを獲得。1994年広島アジア大会では同種目で優勝する。1996年、アトランタ五輪4×200mリレーで4位入賞。2000年シドニー五輪代表選考会で落選し、現役引退。スポーツライター、参議院議員の秘書を務めた後、国際協力機構(JICA)を経て、2007年から国連児童基金(ユニセフ)職員となる。JICAではシエラレオネ、ルワンダなどで平和構築支援に、ユニセフではスリランカ、ハイチ、フィリピン、マリ、ギリシャで教育支援に従事。2021年1月、ユニセフを休職して帰国。3月、東京2020組織委員会ジェンダー平等推進チームアドバイザーに就任。6月、社団法人「SDGs in Sports」を立ち上げ、アスリートやスポーツ関係者の勉強会を実施している。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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