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「布団から出られない」激しい生理痛 女子選手も悩む「月経困難症」の2つの原因

「練習を休みづらい」では症状は改善せず、自分・チームのためにならない

 もう一つは「器質性月経困難症」です。こちらは痛みの裏に子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症といった病気が隠れているため、より深刻なケースといえます。「以前は軽かった生理痛が突然重くなった」「(生理が始まると)だんだん痛みが強くなる」「鎮痛剤を飲んでも効かない」という場合は、こちらが疑われます。

月経困難症には「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」の2種類がある

 最近も「私のセミナーを聴講して不安になった」と声を掛けてきた学生アスリートがいましたが、「市販の痛み止めを服用しても痛みが治まらない。もう何年も痛みを我慢しながらプレーを続けている」とのこと。話を聞き、すぐに婦人科を受診するよう伝えましたが、結果、子宮内膜症と診断されました。

 脅かすわけではありませんが、我慢できないほどの痛みを抱えている場合、「検査をしたら子宮内膜症だった」というケースは、経験上、少なくありません。さらに子宮内膜症は、放置すると症状が悪化。月経時以外にも腰痛や下腹痛、性交痛などさまざまな痛みが現れたり、不妊症の原因になったりします。

 特に中学・高校生の選手は、監督やチームメートに断り、練習を休んでまで病院に行くことがなかなかできない人もいると思います。でも、我慢することでは症状は改善しないし、結果的に自分の、あるいはチームのためにもなりません。

 例えば、痛みを我慢しながら練習をしても、痛みのためにフォームが崩れる、十分な運動負荷がかけられないなどで、練習の質が落ちてしまうことも考えられます。何より「痛みを見て見ないふり」を続けていると、将来、妊娠を希望する頃になって、取り返しのつかないことになりかねません(皆さん、今は想像できないかもしれませんが!)。

 一度、検査をして何もなければ、安心してスポーツに取り組むことができます。万が一、何か病気が見つかっても、痛みを緩和する、しっかり治療することで、良いコンディションを取り戻すことも可能。「生理だから痛くても仕方がない」と諦める前に、「誰かにちょっと相談してみようかな」と、一度、立ち止まることが大切ですよ。

■CHECK! 生理のときのその痛み、放置しても大丈夫?

□生理痛が重く、薬を飲まないとつらい

□鎮痛剤を飲んでも効かない

□年齢が進むにつれて生理痛がひどくなっている

 以上のなかから一つでも当てはまる人は、家族や保健室の先生、部活動の顧問に相談し、一度、婦人科を受診することをおすすめします。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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