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「日本野球は本当に特殊」 五大陸12か国を渡り歩いた野球人・返田岳が行き着いた真実

ドイツのケルン・カージナルスにてシーズン最終戦後にチームメート全員分のサインが入ったユニホームを贈呈された返田【写真:本人提供】
ドイツのケルン・カージナルスにてシーズン最終戦後にチームメート全員分のサインが入ったユニホームを贈呈された返田【写真:本人提供】

ドイツで知った根本的な価値観の違い「日本の野球は野球の1つの姿でしかなかった」

 当時25歳。「NPBに行くための場所」という意味合いが強い日本の独立リーグにおいては、若手に出場機会が優先的に与えられる。20代後半に差しかかっていた返田は「そろそろ賞味期限だ」と実感していた。「年齢に関してある程度寛容な環境で、求めてくれる場所に行きたい」と海外に飛び出すことを決めた。

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 ドイツ・ケルンでプレーしていた小野真悟氏と当時のチームメートがつながっており、紹介を受けて日本で開催されたトライアウトを受験した。海外生活の経験は全くなく、英語も話せなかったが「野球がそこにあるなら」とチャンスに飛びつき、熱意で合格を勝ち取った。

「他の先輩たちは『これぐらいの条件があれば行きたい』という感じでしたが、僕はなんでもよかったので、ねじ込むぐらいのつもりで交渉しました」

 2015年、ドイツで返田の海外野球人生はスタート。「最初はレベルが低いと思っていた」と言うが、実際に感じたのはレベルの高低よりも「求められているもの」の違いだった。守備は日本の中学生レベルでも、長打力では秀でていることも。「日本でやっていた今までの野球は、1つの野球の姿でしかなかったんだな」。野球の型や鉄則が万国共通ではないことを悟った。

 日本では、お互いにダメなところを指摘し合い、切磋琢磨してやってきた。それが優しさだと思っていた。しかし、ドイツで同じようにミスを指摘したところ、チームメートと揉めてしまった。「楽しむためにやるのがスポーツ」という根本的な価値観の違いを実感した。

「まず人生があって、家族がいて、人間関係があって、その後に来るのがスポーツ。何かを犠牲にしてやるスポーツというのは存在しえないんです。ベースボールによって人生、家族、人間関係などが良くなることはあっても、悪い影響を与えるものであってはならないんです」

 グラウンドに来たのに試合に出られない、ということもない。野球は時間を共有して楽しむためにあるという考えが大前提だ。「その先に上達したら楽しい、勝ったら楽しい、優勝したら楽しい、国の代表に入れたら楽しい、というのがある」。日本とは異なる“当たり前”に触れた。

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