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月給5万円、チェコのプロ野球選手になった田久保賢植 覆された“野球後進国”の印象

野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕。侍ジャパンに大谷翔平投手(エンゼルス)ら豪華メンバーが集結し、日本は大いに盛り上がっている。一方で、世界の野球に目を向ければ、2024年パリ五輪は競技から除外。予選の出場国は、209か国だったカタール・ワールドカップ(W杯)に対し、WBCは28か国に留まるなど、競技の普及・振興、国際化における課題も少なくない。

チェコのチームで着用していたユニホームを手にする田久保さん【写真:瀬谷宏】
チェコのチームで着用していたユニホームを手にする田久保さん【写真:瀬谷宏】

連載「ベースボールの現在地」#3、日本と対戦するチェコでプレーした田久保賢植

 野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕。侍ジャパンに大谷翔平投手(エンゼルス)ら豪華メンバーが集結し、日本は大いに盛り上がっている。一方で、世界の野球に目を向ければ、2024年パリ五輪は競技から除外。予選の出場国は、209か国だったカタール・ワールドカップ(W杯)に対し、WBCは28か国に留まるなど、競技の普及・振興、国際化における課題も少なくない。

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「THE ANSWER」ではWBC開催期間中「ベースボールの現在地」と題し、海外でプレー、普及活動してきた野球人の歩みや想いを連日発信。注目される数年に一度の機会だからこそ、世界の野球の今を知り、ともに未来を考えるきっかけを作る。第3回はWBCで日本と同組に入ったチェコで初の日本人プロ選手として活躍した田久保賢植さん。チェコの野球の昔と今について語ってもらった。(取材・文=THE ANSWER編集部・瀬谷 宏)

 ◇ ◇ ◇

 東欧の中央に位置し、中世の街並みが残るチェコ。古くは音楽家ドボルザークを生み、プラハ歴史地区など数多くの世界遺産を有する文化と芸術の国として知られている。スポーツではサッカー人気が高く、アイスホッケーやバスケットボールなども盛んだ。その中で、野球のイメージを抱けない人は多いだろう。

 田久保さんは11年前の2012年、日本人として初めてチェコのトップリーグであるエクストラリーガでプロ契約を果たした。そのきっかけを作った男が2人いる。まずは、関西独立リーグの大阪ホークスドリームで総監督を務めていた門田博光氏。田久保さんは在籍時の2011年、南海時代に3度の本塁打王に輝いたレジェンドから意外な言葉をかけられた。

「お前は面倒見がいいし、指導者に向いているからチームを采配しろ」

 まだNPB入りへの道を模索していた田久保さんにとって、突然言い渡された“監督”の役割。「門田さんは面倒くさいから私に押し付けたんだろう」と戸惑いながらも試合のオーダーを組み、サインを駆使して采配を振るった。

 そんな1年を終えると、今度は海の向こうから思わぬ誘いが舞い込んだ。田久保さんに声をかけてきたのは、米独立リーグで監督を務め、現在ツインズでコーチを務めている三好貴士氏。友人のオーストラリア人がチェコで監督に就任することになり、興味がある人を探しているということだった。

「実はもう野球を辞めようと思っていたんです。だから、最初は三好さんの話を受けるという選択肢はなかった。でも、今まで米国、カナダ、オーストラリアにも行っていて、せっかくそれだけ外を歩いてきたのに、野球界のために必要なキャリアを、簡単に棒に振る理由はあるのかと諭されました」

 そこで田久保さんの“冒険心”に再び火がついた。「確かにそういうキャリアの人間はいなかったですし、あとは興味本位ですね。そんなところに野球があるのかというか、見たことのない世界を1年くらい見てもいいかなと思った」。しばらく考えた後に、チェコ行きを決めた。

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