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直近5戦3敗から蘇ったボクサーの生きがい 「もう俺はダメなのか」…挫折で強くなった森且貴の拳

6回、カイカンハのボディに左パンチを入れる森【写真:中戸川知世】
6回、カイカンハのボディに左パンチを入れる森【写真:中戸川知世】

「強くなってた?」とおどける森、だからシャッターを切った

 私自身、彼を撮影するのはプロ4戦目だった2019年9月の東日本ミニマム級新人王準決勝以来だった。同じ24歳。森は「強くなってた?」とおどけるが、そう思うから必死にシャッターを切った。

「負けを経験して這い上がって人として強くなれた。立ち上がってやってきたのは自信になる」

 ボクシング人生を「9割嫌なこと、きついことかもしれない」と表現する。それでも、戦い続けるのはなぜか。

「やっぱ好きなんですよね。何百人も会場に来てくれるし、達成感も凄い。自分の生きがいというか、やっぱ好きなんですよ、シンプルに。

 ボクシングって違うことをやって(技術を)足していけると思ったら、できたことができなくなることもある。そのままプラスになるわけじゃない。良くなったな、崩れたなの繰り返し。勝ったり負けたりするのも強くなるためのもの。『ポジティブに生きてこうぜ』って思っています」

のぼりを持った多くの仲間に囲まれて入場する森【写真:中戸川知世】
のぼりを持った多くの仲間に囲まれて入場する森【写真:中戸川知世】

 勝利を飾り、「赤コーナー、森且貴!」のコールを受けた。挫折を乗り越え、後楽園ホールの中心で生きがいを噛み締めたその瞬間が冒頭の1枚。「会場に来てくれた人に喜んでほしい。一緒に戦ってくれて本当に嬉しいです」。勝ち続けることだけが人生の価値ではないことを教えられた。

 陣営の大橋秀行会長からは、結果を残せば同級王座挑戦者決定戦のチャンスを与えると言われている。

「まだまだこれから。まずは日本タイトル。そこですね」

 戦い続ける姿に感服した。アスリートの人生を収め、届けることにこちらもやりがいを感じた夜だった。

(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)

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