比江島慎、亡き恩師へのこれ以上ない恩返し「ケビンが後押ししてくれた」 天を見上げて伝えた感謝の想い【Bリーグ決勝】
バスケットボールBリーグのチャンピオンシップ(CS)決勝第3戦が27日、神奈川・横浜アリーナで行われ、宇都宮ブレックス(東地区1位)が琉球ゴールデンキングス(西地区1位)に73-71で勝利。2勝1敗とし、3季ぶり3度目の優勝を果たした。今年2月にケビン・ブラスウェルヘッドコーチ(HC)が46歳の若さで急逝。エース・比江島慎は亡き恩師への想いを胸に、劇的な逆転シュートを沈めた。

Bリーグチャンピオンシップ決勝第3戦
バスケットボールBリーグのチャンピオンシップ(CS)決勝第3戦が27日、神奈川・横浜アリーナで行われ、宇都宮ブレックス(東地区1位)が琉球ゴールデンキングス(西地区1位)に73-71で勝利。2勝1敗とし、3季ぶり3度目の優勝を果たした。今年2月にケビン・ブラスウェルヘッドコーチ(HC)が46歳の若さで急逝。エース・比江島慎は亡き恩師への想いを胸に、劇的な逆転シュートを沈めた。
苦しみに苦しんだエースが雄叫びを上げた。67-68で迎えた第4クォーター(Q)残り33秒。竹内公輔のスクリーンで一瞬フリーになった比江島にパスが通った。「チームメートのために。ケビンのために」。想いを込めて放った3ポイント(P)シュートがリングを射貫くと、クールな男が感情を爆発させた。祈るように見守った宇都宮ファンは総立ち。「ヒエジマ マコト!」の大合唱が起こった。
CS決勝は初戦からシュートタッチに苦しんだ。第1戦、第2戦ともにフィールドゴール(FG)は8本中2本のみ成功。レギュラーシーズンではリーグトップの44.3%を誇った3P成功率も22.2%(2/9本)と低迷した。この日も前半はFG4本全てが外れて無得点。第3Qも2Pとフリースロー(FT)1本の3得点止まりだった。味方が作ったチャンスを生かせず、「相当迷惑をかけていた」と自責の念も抱えた。

それでも、亡き恩師ブラスウェルHCから繰り返し聞かされた「打ち続けろ」の言葉は忘れなかった。44-51で迎えた最終第4Q。「自分の調子が悪いとかは考えず、がむしゃらにリングだけを見てアタックしようと切り替えられた」。3P3本を含むFG5本全て成功の大爆発。信じて起用し続けてくれたジーコ・コロネルHC代行、体を張ってスペースを作ってくれた同僚らへの感謝をシュートに乗せた。
コロネルHC代行は25日の第2戦後、生前のブラスウェルHCが比江島をNBAの大スター、コービー・ブライアントになぞらえて「コービー」と呼んでいたことを明かし、「第3戦では必ずやってくれると思う」と信頼を口にしていた。「2日前に言った通り。第4Qの彼のパフォーマンスは素晴らしかったし、だからこそ私たちは彼をコービーと呼んでいる」。勝負強さを発揮したエースを改めて称えた。
優勝後、比江島は何度も天を見上げた。「最後、僕の3Pもケビンが後押ししてくれたと信じている。(相手の)アルマ選手が(外した)FTもケビンがプレッシャーをかけてくれたと思っている。ケビンが築き上げてくれたスタイルで優勝できて嬉しかった。その感謝の気持ちを伝えた。難しい状況で個性派軍団をまとめ上げてくれたジーコにも敬意を表したい」。これ以上ないエースの恩返しだった。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)