「4、5カウント数えるとイノウエは私を見て…」 ベガス激震、尚弥ダウンを“世界で一番近くで見た男”の証言
モンスターのダウンを“世界で最も一番近くで見た男”が口を開いた。ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は米ラスベガスで行われたWBA世界同級1位のラモン・カルデナス(米国)との防衛戦に勝利。審判を務めたトム・テイラー氏は、2回に左フックを浴びてダウンを喫した場面を振り返り、当事者目線から「完全に問題ないと信じて疑わなかった」と明かしている。

カルデナス戦を担当審判が回想
モンスターのダウンを“世界で最も一番近くで見た男”が口を開いた。ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は米ラスベガスで行われたWBA世界同級1位のラモン・カルデナス(米国)との防衛戦に勝利。審判を務めたトム・テイラー氏は、2回に左フックを浴びてダウンを喫した場面を振り返り、当事者目線から「完全に問題ないと信じて疑わなかった」と明かしている。
井上は2回終盤、打ち終わりにカウンターの左フックを受け、まさかのダウンを奪われた。昨年5月のルイス・ネリ戦以来、試合ではアマチュア時代を含めて人生2度目。両膝をつき、会場は騒然となった。8カウントが刻まれたところでテイラー氏に対してファイティングポーズを示し、試合が再開された。
米衛星ラジオ局「シリウスXM」のボクシング専門チャンネル「シリウスXM ファイト・ネーション」でテイラー氏は、この場面を回想。「あなたにとって、彼の目は少しうつろに見えた? それとも、立ち上がった時は全く問題ないように見えた?」との質問に対して「全く、全く問題なかったよ」と断言した。
「もう一度見てもらえれば分かると思うが、私が4、5カウントを数えた時に彼は片膝をついて私を見て、頷いていた。彼はただ7、8カウントまで持っていきたかっただけなんだ。全く問題なかった。私は彼が完全に問題ないと信じて疑わなかった」
続けて「イノウエは呆然として、混乱していたが、片膝をついて、私のカウントをずっと見ていた。そして立ち上がって、優しく頷いたんだ。だから私は彼に左右に歩いたり、私の方に来たりするように要求しなかった。大丈夫だと分かっていた」と強調。不意に強烈なパンチを浴びたが、冷静に状況を判断しており、ダメージは最小限に見えたという。
「あんな才能のあるボクサーの審判をできるなんて、今でも驚きだ」と興奮を隠し切れなかったテイラー氏。世界を熱狂させたモンスターの実力には感銘を受けているようで「この男は、観客が求めているもの、つまり倒されても立ち上がる姿を見せてくれる。これ以上ない。これ以上の良いものは求められない」と賛辞を送っていた。
(THE ANSWER編集部)