井上尚弥戦中止で困窮の豪ボクサー「倒せる」 「一銭も入ってこない」苦境でも挑戦者の座に意欲
ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は4日(日本時間5日)、WBA世界同級1位のラモン・カルデナス(米国)に8回TKO勝ちした。ラスベガスで脚光を浴びたモンスターとは対照的に、厳しい今を送っていると報じられている同級IBF1位のサム・グッドマン(オーストラリア)は井上―カルデナス戦についてコメント。14日に控える自身の試合で勝利した後に「自分の名前をイノウエの対戦候補の1人として戻すつもりだ」と語っている。

井上と対戦予定も…2度の負傷で中止になったグッドマン
ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は4日(日本時間5日)、WBA世界同級1位のラモン・カルデナス(米国)に8回TKO勝ちした。ラスベガスで脚光を浴びたモンスターとは対照的に、厳しい今を送っていると報じられている同級IBF1位のサム・グッドマン(オーストラリア)は井上―カルデナス戦についてコメント。14日に控える自身の試合で勝利した後に「自分の名前をイノウエの対戦候補の1人として戻すつもりだ」と語っている。
グッドマンは14日、シドニーでセサール・バカ・エスピノーザ(メキシコ)との同級10回戦が予定されている。米専門誌「ザ・リング」は「サム・グッドマンはナオヤ・イノウエをいまだに求めている『彼は偉大だが、倒せる』」との見出しで記事を公開。グッドマンが井上の防衛戦について語っている。
記事内でグッドマンは「彼が優れたファイターであることを再び証明した」と井上を称賛した一方で「優れたファイター? 間違いない。しかし、倒せないかと言えば、絶対にそんなことはないぞ」と自信ものぞかせた。「今は自分の試合が控えていて、それがすべての集中の対象だ。それ以外のことを心配している暇はない。この試合を乗り越えたら、間違いなく再び自分の名前をイノウエの対戦候補の1人として戻すつもりだ」と話し、改めて挑戦の意向があることを示した。
グッドマンは井上戦で、カルデナスの2回までの戦いぶりを称えた。「彼は非常に強いジャブを出していて、足の使い方も初めのうちはかなり巧みで良かった。でも、(7回に)ノックダウンされたことで、彼はその後左フックを狙いすぎるようになってしまったと思う」と分析した。
「イノウエは、自分の持ち味を発揮してその窮地から抜け出し、再び自分のジャブを軸にボクシングをスマートに展開し、最終的には再び主導権を握った。彼が彼たる所以はそこにある。印象的なパフォーマンスだったが、彼にとっては初めて見せたものではなかったと思う」
井上がダウンを喫したことには「どんな鎧にも隙はある。無敵の人間などいないし、それは彼にも当てはまる。それは一発のパンチではなく、そのノックダウンに至るまでの過程、小さな隙の積み重ねの話だ」としたうえで「彼だけでなく、どんなファイターでも無敵だと持ち上げることについて言えるのは、どんな人間もダメージを受けるし、倒される可能性があるということ。結局は実行できるかどうかがすべてだ。だが、印象的だったのは、彼が立ち上がって非常に賢く戦い直し、勝利したこと。それこそが重要なことだ」とカルデナスを退けた印象を語っている。
グッドマンは当初、昨年12月24日に有明アリーナで井上と対戦予定だったが、来日直前、母国でのスパーリングで左目上を裂傷。さらに1月に入って左目上を再び負傷したことで、試合13日前だった1月11日に対戦中止が発表された。結果的に井上は代役挑戦者のキム・イェジュン(韓国)と対戦。4回KO勝ちで3度目の4団体王座防衛に成功していた。
井上がカルデナスと対戦する前、米スポーツ専門局「FOXスポーツ」オーストラリア版はグッドマンの現状を紹介。「別の不動産に投資したり、家も買ったりしたんだ。でも試合をしなければ報酬はもらえない」「トレーニングキャンプにもお金がかかった。今回のトレーニングキャンプに費やしたお金は限度を超えていた」「お金は使ってしまい、一銭も入ってこない。不運な状況になったんだ」などと井上戦が実現しなかったことによる財政難を明かしていた。
(THE ANSWER編集部)