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日本代表を裾野から強く パラ銅メダリストが進める未来への種まき「地域の環境をよくしたい」

裾野から日本代表を強くしたい。車いすバスケットボールでパラリンピックに4大会連続出場した53歳の大島美香(ワールドバスケットボールクラブ)は、現役を続けながら未来への種まきを進めている。障がいを持つ子どもたちにスポーツの場を提供することに尽力。次世代の環境を整え、競技力の底上げを目指している。

競技力の底上げを目指し活動を続ける大島美香【写真:中戸川知世】
競技力の底上げを目指し活動を続ける大島美香【写真:中戸川知世】

車いすバスケットボール天皇杯

 裾野から日本代表を強くしたい。車いすバスケットボールでパラリンピックに4大会連続出場した53歳の大島美香(ワールドバスケットボールクラブ)は、現役を続けながら未来への種まきを進めている。障がいを持つ子どもたちにスポーツの場を提供することに尽力。次世代の環境を整え、競技力の底上げを目指している。

 二分脊椎症で生まれつき下半身不随だった大島が、車いすバスケを始めたのは中学2年。男子に交じって腕を磨いた。1996年のアトランタ大会から4大会連続でパラリンピックに出場。2000年のシドニー大会では銅メダルを獲得した。代表から退いた現在も男子チームに所属し、天皇杯でプレー。1日の準々決勝で敗れたが、32分間東京体育館のコートを駆け回った。

 競技を始めてもうすぐ40年。「世界をやっつけてほしい」と、叶えられなかった金メダルの夢を後進に託す。代表コーチやスタッフ入りを期待する声も固辞してきた。「地域の環境を良くしていきたい」という思いがあるからだ。障がいを持った小さな子どもがスポーツをする場は少ない。今はその機会を提供し、裾野拡大に注力している。

 その一例が、並行して所属する愛知の女子チーム「Brilliant Cats」での取り組みだ。4~5時間の練習枠のうち、最初の1時間を小、中学生との時間に設定。子どもたちに、大人に交じってプレーしたり、指導を受けたりする経験を与えている。ちびっ子チームの「Brilliant Mouse」も結成。次世代が小さな頃から競技に触れられる状況をつくり「そこから日本代表に繋がってほしい」と願う。

 もう一つ温めている案が、50歳以上のチーム「Freedom Cats」の創設。年齢を重ねると、勝利にこだわる方針に追いつけなくなる人もいる。ジュニアからシニアまで「生涯車いすバスケができる環境をつくる」のが次の目標だ。「人生そのものを楽しんで、その中に車いすバスケが入っている。そんないい人生をこれからの若い人には送ってほしい」。未来ために、種をまき続ける。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)



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