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なぜ球児は肘を痛めるのか 「投球制限」の前に見つめ直したい原因と対処法

2020年もプロ野球はキャンプから、いよいよオープン戦がスタート。本格的な球春到来を迎えた。野球人口の減少による球児への負担増大。球数制限の議論などが活発に行われるようになってきた今だからこそ、野球界は改めて選手の体と真剣に向き合う必要がある。

投球過多により「肘関節」にどのような問題が起きてしまうのか
投球過多により「肘関節」にどのような問題が起きてしまうのか

ジュニアの親世代必見の連載「球児の未来の身体を考える」 第9回は「肘関節」に起きる障害をどう予防するか

 2020年もプロ野球はキャンプから、いよいよオープン戦がスタート。本格的な球春到来を迎えた。野球人口の減少による球児への負担増大。球数制限の議論などが活発に行われるようになってきた今だからこそ、野球界は改めて選手の体と真剣に向き合う必要がある。

 プロ野球、広島東洋カープの石井雅也ヘッドトレーナーとともに、球児の体と真剣に向き合う「THE ANSWER」の連載「球児の未来の身体を考える」。第9回は「肘関節」に起きる傷害と、事前のセルフチェックについて。

 ◇ ◇ ◇

 近年「投球制限」について多くの課題や意見が出されています。今回は投球過多により「肘関節」にどのような問題があるのかをご紹介したいと思います。

 成長期の投球過多による肘関節障害の主に問題となっているのが、いわゆる「野球肘」「離断性骨軟炎」「内側側副靱帯損傷」「疲労骨折」です。程度にもよりますが、特にこの4つを発症すると、その後のプレーに大きく影響が出てしまいます。

 1「野球肘」

 発症メカニズムは、投球時に肘関節の内側に伸展力が加わります。それを支えている靭帯や筋肉の付着部に牽引力が加わります。例えると庭の雑草を引っ張ると地面が盛り上がります。成長期の子供達の骨は柔らかいので、これと似たような状況が起こります。最初のうちは少し痛みがある程度ですが、適切な対応をしないと症状が進行してその部分が剥がれたような状態になる事もあります。

 2「離断性骨軟骨炎」

 同じように成長期の選手によくある傷害です。特に投球障害で一番問題になっています。

 その発症メカニズムは、ボールリリース時に肘関節の橈側(肘の外側)の骨同士に圧迫が加わり、軟骨が痛んでしまうことです。程度は1度~3度で評価され、1度~2度であれば自然治癒するとされていますが、症状が3度まで進行してしまうと手術対象になります。またその後の投球に大きな問題を残してしまう事も少なくありません。

 3「内側側副靱帯損傷」

 肘関節の内側を支えている靭帯が、繰り返されるストレスにより損傷してしまうケースです。靭帯そのものを損傷したり、靭帯が付着している部分が剥離してしまったりします。これにより関節が不安定になり、痛みはもちろんですが投球が困難になり、場合によっては靭帯の再建手術が必要になります。また、内側に緩みが出ることで、投球時に関節外側に圧迫が加わりやすい状況になり上記の「離断性骨軟骨炎」を発症してしまうこともあります。

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石井雅也

1965年9月3日、広島県生まれ。株式会社広島東洋カープトレーナー部長、ヘッドトレーナー、日本プロ野球トレーナー協会会長。広島東洋カープ、エグザス治療院、JTサンダース、ピープル(現コナミスポーツ)競泳選手パーソナルトレーナー等を経て現在は広島東洋カープトレーナー部長。選手たちの体を支え、2016年からのリーグ3連覇に大きく貢献する。

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