20歳で1型糖尿病→MLB屈指の守護神に 今もインスリン注射を打ちながら…持病と闘う剛腕、体作りの「80%は何を食べるか」
「THE ANSWER」はこのほどメジャーリーグに編集部記者を派遣し、昨季ワールドシリーズを制して世界一に輝いたドジャースを中心に世界最高峰の舞台に密着。「スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト」として普段発信しているスポーツと社会のさまざまな課題、ジュニア育成や進路選び、保護者や監督・コーチの指導のヒント……など「THE ANSWER」のサイトコンセプトに照らしたテーマを、MLBを通して短期連載で発信する。第2回は「持病との向き合い方と食事管理」。屈強なアスリートだからといって病を寄せつけないわけではない。なかには命や日常生活にかかわる選手もいる。アスレチックスの守護神メイソン・ミラー投手は学生時代に1型糖尿病と診断された。今も持病と闘いながら実践するアスリートとしての体作りへの意識を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

「THE ANSWER×MLB現地連載 #2」――メジャーリーグ取材から探る「アンサー」
「THE ANSWER」はこのほどメジャーリーグに編集部記者を派遣し、昨季ワールドシリーズを制して世界一に輝いたドジャースを中心に世界最高峰の舞台に密着。「スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト」として普段発信しているスポーツと社会のさまざまな課題、ジュニア育成や進路選び、保護者や監督・コーチの指導のヒント……など「THE ANSWER」のサイトコンセプトに照らしたテーマを、MLBを通して短期連載で発信する。第2回は「持病との向き合い方と食事管理」。屈強なアスリートだからといって病を寄せつけないわけではない。なかには命や日常生活にかかわる選手もいる。アスレチックスの守護神メイソン・ミラー投手は学生時代に1型糖尿病と診断された。今も持病と闘いながら実践するアスリートとしての体作りへの意識を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
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マウンドに上がれば100マイル(約160.9キロ)超を連発し、フォーシームの平均球速で昨季からメジャートップの座に君臨しているミラー。26歳の今でこそ、身長6フィート5インチ(195.6センチ)、体重200ポンド(約90.7キロ)のがっしりした体躯を誇るが、6年前は別人だった。
異変が起きたのは20歳の頃。180ポンド(約81.6キロ)あった体重が、4か月で155ポンド(約70.3キロ)まで激減した。1型糖尿病だった。
国立健康危機管理研究機構・糖尿病情報センターによると、膵臓のインスリンを出す細胞が壊されてしまう病気。生活習慣が関わる2型糖尿病とは原因、治療が大きく異なるという。エネルギー源となる糖を細胞に取り込めない状態。生きていくために、定期的なインスリン注射が必須となる。
大学2年の終わりにミラーの生活は一変した。当然、競技生活を送る上で不便なことも多かったが、マイナスなことばかりではなかった。
「インスリンを摂取し始めて、食事もよりヘルシーなものを食べるようになった。もともと酷い食生活をしていたわけではないけどね。ただ、(インスリンを補うことで)自分の体が全ての栄養素を吸収できる状態になった。必要な燃料が手に入るようになって、全てが噛み合うようになってきたんだ」
病気になったからといって投げ出さず、前向きに向き合い、自分の体と対話すれば、状況をポジティブに変えていけることをミラーの言葉が教えてくれる。
診断前の2年間は、全米体育協会(NCAA)3部のウェインズバーグ大で防御率7点台とメジャーには程遠かった。だが、治療と食生活の変化で体重が増加。90マイル(約144.8キロ)に届かなかった球速も次第に上がっていった。3年目は67回2/3を投げて97奪三振、防御率1.86と劇的に向上。翌2020年には1部のガードナーウェブ大に転入し、2021年のドラフトでアスレチックスから3巡目指名を受けた。