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今、世界のスポーツ界が注目している魚料理 理由は「n-3系脂肪酸」の効果、安価な“魚不足”解消法を紹介

Jリーグやジャパンラグビー リーグワンをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「アスリートの体のケアと魚料理」について。

今回は「アスリートの体のケアと魚料理」について【写真:AC】
今回は「アスリートの体のケアと魚料理」について【写真:AC】

公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏の連載 今回は「アスリートの体のケアと魚料理」

 Jリーグやジャパンラグビー リーグワンをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「アスリートの体のケアと魚料理」について。

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 近年、スポーツの世界では、「魚や魚油などの食品」が注目されています。

 魚には、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)に代表される、n-3系脂肪酸という必須脂肪酸が豊富です。スポーツ界で注目される理由は、n-3系脂肪酸には、運動による炎症反応を抑制し、筋損傷や筋肉痛を減少させる働きがあることが、いくつかの研究で報告されているためです。

 日々、ハードなトレーニングや試合をこなし、筋肉や骨、靭帯等の組織にダメージや怪我を抱えるアスリートの体は、常に炎症を起こしている状態と言えます。このため、アスリートの食卓にはリハビリ時はもちろん、普段から油ののった魚料理は欠かせない、と考えられています。

 例えばスポーツ先進国であるオーストラリアの国立スポーツ研究所(AIS)では、アスリートたちがどのぐらい魚を摂ればよいかをホームページで紹介しています。標準的な西洋の食生活では、魚介類の摂取量が少なく、n-3系脂肪酸の欠乏を避けるための推奨量を下回らないよう、意識する必要があるからです。

 AISでは、食用調理油由来のn-3系脂肪酸(エゴマ油や亜麻仁油)以外に、油ののった魚――例えばサーモンやイワシ、サバ、マグロなど――を、少なくとも1週間に2サービング程度(1サービング=約180グラム)摂取するよう、推奨しています。

 さらに魚介類は一般的に肉よりも脂質が少なく、筋肉の合成を促すアミノ酸のロイシンや、骨の健康維持および免疫作用の調整に欠かせないビタミンDも豊富です。これらの栄養素の働きによって、運動負荷で筋肉に生じる痛みや損傷を抑制したり、コンスタントに良いコンディションを維持するため、「たんぱく質は肉で摂る」というイメージの強い欧米の選手たちも、積極的に魚を食べるようになっているのです。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJリーグ横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けてのスポーツ食講座なども行う。著書に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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