平昌メダル5個、東京は6位入賞のパラ選手 村岡桃佳の「ワガママを貫き通した」挑戦
3月4日から開催される北京パラリンピックに向け、順調にコンディショニングを上げているパラアルペンスキー女子座位の村岡桃佳。今季ワールドカップでは年末の4連勝を含む6勝を挙げるなど、まさに向かうところ敵なしの勢いをつけ、北京の大舞台に臨もうとしている。
東京パラでは陸上100mで6位入賞、北京パラにはアルペン前女王として出場した24歳
3月4日から開催される北京パラリンピックに向け、順調にコンディショニングを上げているパラアルペンスキー女子座位の村岡桃佳。今季ワールドカップでは年末の4連勝を含む6勝を挙げるなど、まさに向かうところ敵なしの勢いをつけ、北京の大舞台に臨もうとしている。
【特集】自分で限界を作らない 夏冬“二刀流”に挑むパラリンピアンが見る景色 / パラアルペンスキー・村岡桃佳選手インタビュー(GROWINGへ)
村岡と言えば、“夏冬二刀流”に挑むパラアスリートだ。2021年9月の東京パラリンピックでは、パラ陸上の女子100メートル(車いすT54)で6位入賞という大健闘を見せたが、そもそもはパラアルペンスキーの選手。4年前の平昌パラリンピックでは出場5種目全てでメダルを獲得し、冬季パラリンピックでの日本人最多メダル獲得数を記録した。
その村岡がパラ陸上への挑戦を表明したのは、2019年4月のこと。本格的な準備期間はわずか2年半ではあったが、東京パラリンピックで入賞してしまうのだからタダ者ではない。そして今、24歳のパラアスリートは再び戦いの場を雪上に移し、平昌を超える結果を出して“夏冬二刀流”のコンプリートを目指している。
「今回の二刀流挑戦は、東京から北京、という流れだと自分の中では考えています。東京パラリンピックに出場して、やっと二刀流の挑戦をスタートできた。そして、ゴールとなる北京パラリンピックでメダルを獲得して、東京で決勝を終えた時のような達成感だったり、挑戦して良かったという思いだったりを味わいたいですね」
世界トップレベルで争うアスリートの中で、夏冬二刀流に挑む選手は数少ない。最近ではスノーボードで五輪2大会連続銀メダルの平野歩夢が、2021年東京オリンピックにスケートボード日本代表として出場したが、日本人オリンピアンとしては5人目の出来事。2種の競技で代表の座を掴むことが、いかに難しいことなのか、言わずもがなだろう。
二刀流の難しさ、厳しさ、苦労を想定しながらも、あえて挑戦することにした村岡。果てしないチャレンジ精神に溢れた人物なのかと思いきや、「そういったことは一切なくて……」と決まり悪そうに笑いながら続ける。
「むしろ嫌いというか、苦手なんですよね。新しいことに挑戦するとか、新しい環境に飛び込んでいくとか。人見知りも激しいですし、何か新しいことを始めるのが元々好きじゃないんです。さらには、自分がパイオニアになりたいとか、第一人者としてやってみようとかいう意欲も特にないですし(笑)」
意外な告白に驚かされるが、それでは一体何が二刀流への原動力となったのだろう。それは「好きなことをやりたい」と思う気持ちと「負けず嫌い」な性格の双方にあるようだ。