日本と韓国は「同じところを探すほうが難しい」 元巨人・戸田懐生、1か月半でAI審判に適応できた理由

ロボット審判を考慮して変えた投球スタイル「最初は難しかった」
韓国プロ野球では2024年からABS(機器によるストライク・ボールの判定システム)を全面導入している。米大リーグのように選手からのチャレンジがあったときに判定の補助として使うのではなく、追跡システムとAIが判定し、球審がそれを伝えるだけという一歩進んだシステムだ。戸田の変身には、このシステムへの適応もあった。
「最初は難しかったです。日本の特に2軍では、今思えばストライクゾーンがかなり大きかった。左右が特に広かったんです。(打者の)内を使って、外を遠くするという日本の考えで最初はやってたんですけど…」。内角を意識させて外の変化球を振らせるというのは、一つの投球パターン。ただ左右が狭いゾーンになると、その効果は薄れる。さらに内角はなかなかストライクも取ってもらえない。戸田はシーズン序盤でこれに気づき、修正に乗り出したのだ。
「ストライクゾーンでとにかく勝負することですね。そうじゃないとこのリーグでは厳しい」。そして戸田には、ABSに合った球質もあった。このシステムは高めのボールがストライクとコールされると、多くの投手が証言している。戸田も同じように感じており、日本と比較するとストライクゾーンの高低は「1.5倍近くあるんじゃないですか」と感じるほど違うという。
「僕の真っすぐはちょっと伸びる感じの球質なので、高めを取ってくれると投げやすい。日本ではほぼ取らないところもストライク。そこは合ってるのかなと思います」
一般的なイメージ通り、韓国の打者は直球に強いと感じる。ただそこでも「真っすぐに強いからといって、投げないわけにはいかないんで。真っすぐに強い打者の中でも、勝負できるような真っすぐを投げることにはこだわってやっています」。戦う姿勢だけは崩さない。巨人時代よりおとなしくなったものの、左足を独特のリズムで上げる投球フォームは豪快だ。
戸田には「いつか海外でプレーしてみたい」という夢があった。巨人から戦力外通告を受けての韓国行き。難しそうに見える決断も「できる場所があるなら」と自然体だった。「昔、憧れだった選手がメジャーに行ったりした姿や投球を見ていたので、やってみたいなっていう気持ちがあったんですよね」。愛知県出身の戸田。憧れは中日で通算117勝を挙げ、ブレーブスでも投げた川上憲伸投手。韓国では希望して同じ背番号11をつける。
韓国で波に乗りつつある戸田に、ここでどんなキャリアを積みたいかと聞くと「まあ、終わってみて『こういう選手いたな』ってちょっと覚えててくれればいいかなと思います」と微笑む。取材を終え、ロッカーに戻ろうとする戸田は、韓国のファンに「トダサン!」と声をかけられると汗だくになりながらサインに応じていた。身長170センチの小柄な体で力投する姿は、本拠地の昌原(チャンウォン)で着実に居場所をつかみつつある。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)








