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日本の“プロラグビー”はどうすれば成功するか スーパーラグビーを見習うべき理由

“SRスタイル”なら社会人リーグのプロ化も可能?

 ホームタウン制導入の可否も、より具体的な方向性を示す必要がある。ワールドカップを開催した12地域(スタジアム)にプロチームを置くアイデアもある。例えば熊谷ラグビー場の拠点化を進めるパナソニックなら、プロリーグでの熊谷の“ホーム化”は既定路線でもある。しかし、多くのTLチームが拠点を置く東京ではホームスタジアムを各チームが共有することになるのか、各チームが本拠地を探さなけばならないかも、いまだに協会は明確には示していないという。

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 日本協会理事会や、協会首脳陣が話し合いを重ねる中で、プロ化へのカレンダーも足踏み状態に陥っている。清宮副会長は7月の段階では「ワールドカップが終わるまでに、完璧な結論を出さないといけないと思っている」というロードマップを示していたが、11月の段階では、いまだに理事会での設立準備委員会の承認に留まっている。ワールドカップの機運にも乗じたい同副会長にとっては忸怩たる思いもあるだろう。

 では、企業が母体となっている社会人リーグのプロ化は不可能なのだろうか。もしくは発足までに相当の時間を要するのだろうか。1つ可能性を秘めるのは、スーパーラグビー(SR)スタイルのプロ化だろう。もちろん、これも1つの叩き台のようなもので、日本協会内、参画チーム間で揉んでいく必要はある。

 ではSRスタイルとは、どのようなものか。

 まずSRチームの運営形態を簡単に説明すると、ニュージーランド、南アフリカなど参画5か国にリーグ戦期間限定のプロチームを設け、各チームが、その母体となる地域代表(州代表)や、地域とは関係なく世界中から選手を集めて公式戦を戦うのが基本だ。

 これを日本国内に当てはめると、新設されるプロチームがTLやその下部リーグの選手と、出向契約のような形態で期間限定でプロ契約を結びチームを編成して、新リーグを戦うことになる。シーズンが終われば、選手は個々の所属チームに戻りプレーすることになる。

 所属チームとプロチームともにプロ契約する選手もいれば、所属チームではサラリーマン選手として業務とラグビーを両立させて、プロリーグ期間は“出向”してラグビーに専念する選手もいるだろう。代表に選ばれた場合は、さらに出向期間が延びるなど拘束期間の問題があるため、社会人リーグ、プロリーグ、代表での活動の時間配分を精査する必要があるだろう。今季のTLように、従来8、9月~翌年1月だった公式戦期間を真逆の1~5月に変更できたことを考えれば、社会人リーグの日程変更には柔軟性があると考えられる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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