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日本にラグビーのプロリーグは誕生するのか? メリットと、山積する課題を徹底分析

プロ化によるメリットは?

 プロ化によるメリットは強化、普及面での環境整備に他ならない。よりコンペティティブな試合により選手のレベルを引き上げ、各プロチームが行うファンサービスやラグビースクールがファン、選手層を拡大させるのは、どの競技でも共通したプロ化の魅力だ。同時に、ホームタウン制を導入すればその地域自体とラグビーの活性化が進み、ラグビー入門者の受け口としても期待される。

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 その一方で、協会内や国内リーグに参画するチーム(企業)には、現時点でのプロ化を諸手を挙げて賛成できないという声もある。真っ先に懸念材料に浮上するのが“時間”の問題だ。

 あるTLチームの運営担当者は、2021年というプロリーグ開幕がネックになると指摘する。所属企業が、保有するチームのプロ化を、わずか1、2年という時間で容認、実現するのは容易ではない。そもそも企業がラグビーのプロチームを保有したり、大口のスポンサーになることにどのようなメリットがあるかを、ラグビー協会側も説明する必要があるだろう。

 チーム自体には、プロ化に必要な資金を確保するという大きなハードルがある。多くを現在の所属企業が支払ったとしても、親会社にすべてを依存する体質なら、プロ化の意義にも疑問符が浮かぶことになる。多くのチームが、この2年という準備期間で、すべての運営費を確保できるかは疑わしい。同時に、所属する社員選手がプロへの転身をどう判断するかも大きな問題だ。

 当然のことながら、プロリーグを運営するのも、プロチームを経営するのも、膨大な資金が前提になる。TLは、参画16チームでも差があるが年10億円以上の運営費を企業から支給されている。この予算は、社員の福利厚生の一部と扱う企業もあれば、広告費やスポーツ推進室のような部署の予算からあてがわれる場合もある。共通しているのは、自分たちで得た収益で運営されているのではないことだ。

 幸いなことに、日本の強豪ラグビーチームを持つ企業は、トヨタ自動車、パナソニック、サントリー、NTTなど世界規模で事業を展開する優良企業が多い。その大企業の庇護のもとチームやリーグが運営されているのが日本ラグビーの実情だ。

 現状の社会人チームですら億単位の予算が必要なのに加えて、プロ化に伴いホームスタジアムの確保、維持管理など従来の企業チーム以上の資金が必要なのは明らかだ。日本協会では、テレビ放映権をさまざまな費用に充てるというプランもあるが、野球、Jリーグですらレギュラーシーズンの試合放映で苦戦しているのが現状だ。

 国内ラグビーを独占的に放映するJスポーツでさえ、ラグビー中継の枠は縮小している。日本代表のテストマッチ放映権と抱き合わせで、より高額な放映権を得る戦略もあるが、リーグ運営や多くの参画チームを潤すほどの巨額の放映料を長期間に渡り確保するのには相当な裏技が必要だろう。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19年と6大会連続で取材。

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