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サッカー日本代表戦とテレビ中継 「結果しか伝わらない」時代を支えた選手の使命感

メキシコ五輪開幕戦を前に長沼健監督が選手にかけた言葉

「とにかく私たちの時代は、とことん結果にこだわりました。だって、それしか伝わらなかったですから」

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 当時の代表選手たちは、なんとかサッカーという競技を知ってほしいという使命感に満ちていた。

 八重樫は東京五輪を最後に引退するつもりだった。だが日本代表監督ながら2歳しか違わない長沼健から「アジア大会で優勝するチャンスだから、あと2年だけ頑張ってくれ」と説得され、アジア大会を3位で終えると、さらに2年間現役生活を続けることになった。

 メキシコ五輪開幕戦を前に、長沼は選手たちに声をかけた。

「今は、こんなにたくさんの子供たちが応援してくれている。ありがたいもんじゃないか。その期待に絶対応えような」

 銅メダル獲得で第一次ブームが到来し、日本リーグに4万人の観衆が集まることもあったが、低迷とともに人気も下降の一途を辿った。結局アマチュア時代の金字塔から、プロ創設までは四半世紀を要した。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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