単位不足で「卒業できないとなると…」 ラグビー日本代表、大学生招集で抱える強化整備のジレンマ

外国人コーチも6か月拘束に難しさ「日本人コーチを入れていくことも…」
第1期のエディー体制や、23年まで務めたオーストラリア代表時代などでも、コーチやスタッフの入れ替わりが多いのが特徴でもある。ここはコーチング自体の考え方の相違と同時に、24時間フル稼働で強化に取り組むようなHC自身のハードワーカーぶりも影響する。サントリー時代から近くでエディー流を見てきた永友TDはこう説明する。
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「外国人コーチで6か月も拘束されるとかなり難しい部分がある。僕も何度か相談も受けました。家族を母国に残して単身で日本に来ているコーチもいます。そこは家族も日本に呼ぶなどのやり方はいくらでもあると思いますが、エディーも語っていたが日本人コーチを入れてくことも選択肢の一つになっていく可能性はあります」
深夜まで代表チームのレビュー、プレビューに取り組み、国内、海外のラグビー映像をチェックして、毎朝4時、5時には起きて準備を再開、そして選手よりも早くジムワークを始める。こんなエディー自身の働きぶりは、同じことをコーチに求めなくても、様々な負担を強いることになるのは想像するのが難しくない。その中で、生活拠点も日本国内で、エディーのやり方をよく知る日本人コーチをどう強化に生かしていくかも、W杯へ向けてTDとして取り組む課題でもある。
現在も第1期エディージャパンでLOとして活躍した伊藤鐘史、トヨタ自動車(現トヨタヴェルブリッツ)でSHとして活躍した麻田一平がアシスタントコーチを務めるが、永友TDは「国内で日本のコーチも育っていると思います。パナソニックワイルドナイツでロビー(・ディーンズ現エグゼクティブアドバイザー)の下でやってきた金沢篤(現HC)もそうですし、スピアーズの(フラン・)ルディケHCの下でやっている田邊淳(AC)もいます。ブレイブルーパスの森田(佳寿、コーチングコーディネーター)君も(トッド・)ブラックアダーHCのところでいい指導を学んでいる。ヴェルブリッツやスティーラーズでも、名将と呼ばれる指導者の下で日本人コーチが学んでいますから」と今後の日本人コーチの成長と可能性には前向きだ。
12月3日に行われた27年W杯の組み合わせ抽選会で、日本代表(世界ランキング12位、12月25日現在)はプールE組でフランス(同5位)、アメリカ(同16位)、サモア(同19位)と決勝トーナメント進出を賭けて戦うことが決まった。TDはこの組み合わせについて「いよいよW杯へ向けた準備が始まるなという実感が沸いています。対戦相手はヨーロッパ、オセアニア、アメリカと異なる地域のチーム。スタイルがそれぞれ違うこともあり、戦い方も変わってくる。どれも気が抜けない相手です」とプール戦はキャラクターの異なる3試合を想定する。
日本協会側では未発表だが、オーストラリア協会は来年8月に日本とのテストマッチ2試合のスケジュールを発表。8日の第1戦は日本国内、そして15日には2003年W杯でも日本代表の拠点だったオーストラリア・タウンズビルでの対戦が予定されている。2月にはW杯の試合日程及び開催スタジアムが確定するため、8月の敵地戦はテストマッチと同時に、2年後へ向けた現地情報取集にも活用する見通しだ。
徐々に2年後の大会の概要が見えてきた中で、日本代表の強化もより具体性を帯びてくるはずだ。2027年へ向けて強化を加速していく来季からの2年間に、TDとしてチームに何を求めていくのだろうか。
「選手は今秋のオーストラリア、南アフリカ、アイルランドといった強豪との対戦で鍛えられた部分がすごくあると思います。エディーさんの中で、やるべきことは明確になってきていると思います。帰国後の総括会見でも話していた中でも、空中戦というところは、しっかりとフォーカスしていくポイントです。来年はネーションズチャンピオンシップが始まるので、トップレベルの相手と対戦することで課題の達成度を測り、経験値のいい積み上げは出来るはずです。その中で、やはり今後はセレクションに比重がかかってくる。ここは(選考)基準をしっかりと統一してやっていくことで、チーム、選手層の上積みになると考えています。空中戦のようなスキル、戦術面に加えて、後は勝ち切る力、最後にスコアして勝利するという部分は、これからの強豪を相手にする試合経験の中で補っていけると考えています」
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