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痛恨の“残り0秒敗戦”はなぜ起きた 判定の疑念より…ラグビー日本が露呈した「深刻な問題」

反則で自らチャンスを潰したことが1点差惜敗につながった【写真:JRFU】
反則で自らチャンスを潰したことが1点差惜敗につながった【写真:JRFU】

判定への疑念は理解できるが…テストラグビーは反則の回避も重要な要素

 試合後の会見でエディーは「1試合で片方のチームがシーリング(ボールに覆いかぶさる反則)を取られ、一方は反則にされない。その一貫性のなさが、試合を台無しにしている」とレフェリングに噛みついたが、気持ちは重々わかる一方で、テストラグビーでは、反則をどう回避するかも勝つためには重要な要素だ。

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 反則数は日本の10に対してウェールズは11と下回ったが、1試合でイエローカード3枚では、テストマッチでの勝利は容易ではない。遠征前のオーストラリア戦も含めると、ここまでの秋の代表戦4試合でのイエローカード(10分間の一時退場処分)は通算8回。単純計算で1試合80分間の内20分を14人で戦ってきたことになる。

 先にも紹介したように、この試合の前半15分間を14人ないし13人で戦い、失点は上手く回避できたが、当然のことながらこの時間帯のアタックチャンスは大きく削がれることになった。効果的なアタック=スコアが出来なかったのは、接戦だったからこそ尚更深刻な問題だ。

 人数に関わらず、アタック面ではスコアチャンスだった31分の敵陣ゴール前ラインアウトはノックオンに終わり、35分の22mライン付近のスローイングはクリーンキャッチに失敗。そこから継続したアタックもボールを奪い取られた。鍔迫り合いの様相の前の後半11分の相手トライも、起点となったのは日本の不用意なオフサイドだった。そして、痛恨のラストワンプレーの逆転も、37分、43分の連続ペナルティーで許した。反則で自分たちのチャンスを潰し、ピンチを招く展開を修正出来ずにきたことが、勝てたゲームを1点差で逃す結末に繋がっている。

 ウェールズという実力の近い相手に、勝てる展開に持ち込みながら勝ち切れなかった現実に、試合直後のエディーもいつもの確信に満ちたコメントが出てこない。

「誰もミスをしたくてしている訳じゃないが、ミスは起きている。それがプレッシャーのためなのか何なのか分かれば修正出来るが、まだその真相は分からない。しっかり見直して要因が感情的なものか、戦術か、それともスキルのエリアなのかをしっかり吟味、修正していきたい」

 そのような状況でも、ツアー中トップクラスのパフォーマンスを見せてきたFLガンター、プレー面、精神面の支柱になっているNo8リーチという2つの大駒をアイルランド戦後に失う緊急事態ながら、完全アウエーで1点差に詰め寄ったのも事実だ。ウェールズも同様に、接点の激しさ、ハードタックルで全英・アイルランド連合軍「ライオンズ」にも選ばれるFLジャック・モーガン主将を怪我で欠いていたが、先発メンバー1人平均が18.5キャップの若いビジターチームには、この2人の欠場は大きかったはずだ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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