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米国にも「お茶当番」に似た仕事が…子どものスポーツ、日本だけじゃない親の労力的負担 「61.6%」の中身とは

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「子どものスポーツにおける親の負担」。

今回は「子どものスポーツにおける親の負担」(画像はイメージ)【写真:Getty Images】
今回は「子どものスポーツにおける親の負担」(画像はイメージ)【写真:Getty Images】

「Sports From USA」―今回は「子どものスポーツにおける親の負担」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「子どものスポーツにおける親の負担」。

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 子どもがスポーツ活動に参加するとき、親には、金銭的負担のほかに、さまざまな世話がのしかかる。たとえば、お茶当番は、練習や試合の際の水分補給をサポートするものだが、それと同時に、親や指導者との人間関係にもわずらわされることがあるだろう。こういったことから、子どもがスポーツ活動をしたいと望んでも、親が負担感の大きいことを理由に参加をためらうこともあるようだ。

 子どものスポーツ活動における親の負担の問題は日本だけではない。米国でも、子どもがスポーツ活動をすることによって、練習や試合会場までの送迎負担、コーチング、会計などのチーム運営役割を担うことがある。今年3月に、米国の非営利シンクタンクのアスペン研究所がスポーツをする6歳から18歳までの子どもを持つ全米の約1800人の保護者を対象にした調査を発表した。高い競技レベルのエリートチーム、中学や高校の運動部、地域を拠点としたレクリエーションスポーツなどに参加する子どもの親を対象としたものだ。この調査のなかに「親の関わり」という項目があり、米国の子どものスポーツにおいて保護者がどのような役割を担っているかが数字で報告された。

 まず、調査に回答した親の61.6%が、学校内外のスポーツチームやクラブにおいてなんらかのボランティア活動を行っていることが分かった。この約6割の保護者にどのような役割をボランティアで行っているかを聞いたところ、「チーム・ペアレント」として活動している割合が最も高く43.6%だった。「チーム・ペアレント」は、文字通りチーム全体の世話をする親という意味であり、チーム内の連絡やスケジュールの管理などを担当していることが多い。たとえば、米国には、試合や練習におやつやジュースなどの飲み物を持っていく「お茶当番」に似たような仕事もある。これは、日本のような完全な当番制ではないが、チーム・ペアレントが、誰が、いつ、何を持っていくのかの調整することもある。

 そして、売店・チケット販売(16.4%)、コーチ(14.5%)が続いた。売店やチケット販売は主に高校運動部に所属する子どもの親が担っているといえるだろう。米国の高校の運動部はホームとアウエー形式のリーグ戦を行うスタイルが一般的。ホームの試合で保護者が飲み物やお菓子を販売し、この売上をチーム収入とする。また、学校外の活動で、それほど競争の激しくないチームでは、保護者がボランティアでコーチを担うことが一般的だ。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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