米国にも「お茶当番」に似た仕事が…子どものスポーツ、日本だけじゃない親の労力的負担 「61.6%」の中身とは
子どものスポーツ活動を支える親の負担は家庭の食生活にも影響
では、親はこういったボランティアにどのくらいの時間をかけているのだろうか。典型的な1週間で、子どものスポーツにどのくらいの時間、関わっているかという問いには、平均で週に4.21時間をボランティアに費やしているというデータが出た。
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ボランティアとしての役割を担わなかったら、金銭以外の親の負担は全くないか、といえば、そんなことはない。試合や練習のある日は、親が平均202.74分(約3時間23分)を子どものスポーツ活動に費やしている。内訳を見ると、練習や試合への送迎に27.56分、スポーツ用の食事や水分補給の準備に18.21分、試合や練習の見守り65.21分、他の保護者やコーチとの連絡に合計37分、用具の手入れや洗濯に30.29分、子どもとの対話に26.60分となっている。試合や練習の見守りは親にとっても楽しい時間かもしれない。要するに、子どもを試合や練習の会場に送迎し、そのまま試合や練習を見守り、家では、日々のスケジュール確認、コーチとの連絡、洗濯などをしているということだろう。
筆者が最も米国らしさを感じたのは子どものスポーツ活動を支えるための親の負担は家庭の食生活にも影響を与えていることだった。前述したように、親は子どものスポーツ活動のある日には200分以上を子どものスポーツに費やしている。つまり、家で食事の用意をする時間が取れない。子どものスポーツ活動があるために外食の回数が増えたと回答した家庭は多く、週2~4回が56.3%、週5~7回が13.2%と、全体の7割近くが週に複数回、外食をしている。また、35.9%の親が、スポーツ活動が家族の健康的な食習慣を妨げていると回答している。平日や週末の夕方にファーストフードやピザ屋の前を通りかかると、スポーツ活動を終えたその帰り道らしき親子の姿を見ることが珍しくない。家に帰る途中に立ち寄っているのだろう。
親がボランティアで支えるスポーツ活動は、費用を抑えることができ、親同士のつきあい、家族ぐるみのつきあいという楽しさも得られるというメリットはある。それに「子どもの楽しみや夢のためなのだから、親ががんばるのは当然だ」という考え方もあるだろう。しかし、どの親も同じように時間や労力をかけられるわけではない。アメリカでも、経済的負担だけでなく、親がどこまで時間と労力をかけられるかが、子どもの活動機会の格差にもつながっている面があるといえるのではないか。
(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)