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東京マラソンを日本人最速で走ったスーパーの店員 世陸争いに待った、苦労人・市山翼の地道な日々

9月の東京世界陸上代表選考会を兼ねた東京マラソン2025が2日、東京都庁~東京駅前・行幸通りの42.195キロで行われ、28歳の市山翼(サンベルクス)が2時間6分0秒で日本人トップの10位だった。2021年の自己ベストを1分41秒更新し、参加標準記録2時間6分30秒も突破。普段はスーパーの店員を務める苦労人が、世陸代表争いに割って入る力走を見せた。

東京マラソンで日本人1位となった市山翼【写真:中戸川知世】
東京マラソンで日本人1位となった市山翼【写真:中戸川知世】

東京マラソン

 9月の東京世界陸上代表選考会を兼ねた東京マラソン2025が2日、東京都庁~東京駅前・行幸通りの42.195キロで行われ、28歳の市山翼(サンベルクス)が2時間6分0秒で日本人トップの10位だった。2021年の自己ベストを1分41秒更新し、参加標準記録2時間6分30秒も突破。普段はスーパーの店員を務める苦労人が、世陸代表争いに割って入る力走を見せた。

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 超ハイペースの先頭をよそに、虎視眈々と足を回した。市山の苦手は下り。「前半の下りはうまく走って粘り切る」。中間点は1時間2分44秒の37番手、続々と脱落するライバルたち。海外勢を風よけに使いながら上位に出ると、溜めた力を放出した。38キロで浦野雄平、40キロ手前で池田耀平を逆転。「順位、タイムもレース後に知った」。それだけ自分のみに集中し、走りを崩さなかった。

 いわゆるエリートとは違う。埼玉・大宮東高から中央学院大へ。「同期ですらみんな上。一人ずつ勝っていった。(周囲の)記録を抜くのが自分の中心」。入学前の5000メートルは15分台に過ぎなかったが、箱根駅伝で2区を走破。実業団2社を経て23年4月にサンベルクスへ。「凌ぎ合い、勝ったり負けたりするのが楽しい。それが仕事になる」。負けも多い。でも、挑戦が成長になると知っていた。

 実はシューズを脱げば店員になる。所属先が展開するスーパーマーケット「ベルクス」。1日6時間を週4日、草加青柳店で発注や品出しを担当。段ボールを積み、12キロの水を持ち上げる。「うまく使えないとギックリ腰に……」と注意しながらスクワット風に体を使い、体幹を鍛えた。客からの応援もちらほら。この日の沿道でも「名前を呼んでくれた」と地道な日々が伝わっていた。

 2月の全日本実業団ハーフを日本歴代8位の1時間0分22秒で優勝。勢いに乗り、東京の主役に躍り出た。過去のマラソンは練習消化率が低かったが、今回は完全消化で気温20.3度の暑さもなんのその。「暑さには強い。我慢比べの走りだった」と額の汗を拭った。

 頬を引きつらせ「得意じゃない。噛まないように」と笑った記者会見。「ランナーの目標や憧れになることが陸上人生の目標。熱いレースができることが自分の成功だと思っている」。34年ぶりとなる東京開催の世界陸上。日の丸争いに待ったをかけた。

○…東京世界陸上の代表は最大3枠。日本陸連のJMCポイントランク1位で条件を満たした選手が内定。小山直城がトップになることが濃厚だが、参加標準記録2時間6分30秒を突破していないため、5月の世界ランク確定を待って内定となる。残りは参加標準記録を突破した選手から総合的に判断される。福岡国際で日本歴代3位の2時間5分16秒だった吉田祐也、大阪で2時間5分39秒だった近藤亮太らが有力候補に挙がり、市山も名乗りを上げる形となった。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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