井上尚弥が破壊した「軽量級は稼げない」の定説 30億円契約に破格報酬…戦いたいなら「来い!」

なぜ、多くの試合ができるのか 大橋会長が驚き「メンタルもモンスター」
これを可能にする要因は、井上のスピードや防御技術にある。陣営の大橋秀行会長は「ほとんどパンチをもらっていません」と力説。2023年12月もリングに上がったため、13か月で4試合となった。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
「パンチをもらったのは(昨年5月の)ルイス・ネリ戦でダウンした一発くらいですが、支障はないレベル。これが打ちつ、打たれつの試合だと難しい。試合期間が空くと体重が増えるけど、(年間3試合ペースの)今はそれがない。試合が終わってすぐに練習に来ていた。怪我がなければ年間3試合できます」
プロ6戦目から10年9か月、24試合連続で世界戦しかしていないのも異常。大橋会長は「メンタルもモンスター」と驚く。
「普通、世界戦は一試合、一試合が人生を懸けた勝負。それが何試合もあるのは、普通はプレッシャーになるものです。試合の緊張感が日常。とんでもないです。本人が『3試合できる』と言うのは、強がりではありません。もう12年もそばにいるのでわかります」
近年は資金力のあるネット配信に移り、興行規模が拡大。当初は「テレビじゃないと新規ファン獲得に繋がらない」と指摘されたが、爆発的な視聴数をマークしてきた。テレビ局の主催興行では1局でしか“番宣”できないが、ネット配信なら各局にCMが流れる。最近は「報道ステーション」や「news zero」など普段はボクシングと縁遠いライト層も視聴する番組で特集されるようになった。
一生、食うに困らない大金が手に入るだけあって、海外選手から対戦希望の声が止まない。井上は上の階級の選手に対し、「スーパーバンタム級に敵がいないから階級を上げろというのはおかしい話だし、やりたいんだったら『お前らが下げてこい!』という話」と強気でいられる。
昨年4月には「今や軽量級の本場はここ日本にある。試合が見たいのなら日本に来ればいい。日本のマーケット以上の物がアメリカにあるのなら喜んで行く。それだけの価値がここ日本にはある」ともXにつづっていた。
現状、モンスターが特別な存在だから実現できたことだが、本人の言葉通り次世代に夢を与え、切り拓いた功績は絶大だ。次に続く選手の台頭を本人も心待ちにしている。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)