[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「長谷部誠を凌ぐ天才」の今 “突き抜ける個”が育つサッカースクールで挑む「世界」

「まずは楽しくボールと遊ぶこと、グラウンドを駆け回ること」と馬場憂太さんは持論を語る【写真:荒川祐史】
「まずは楽しくボールと遊ぶこと、グラウンドを駆け回ること」と馬場憂太さんは持論を語る【写真:荒川祐史】

長谷部に言われ、ずっと考えた「長谷部にあって、自分になかったもの」

 幼稚園児から小学6年生までを対象にしたレッスンの一番の売りは「サッカーを純粋に楽しませること」だ。“笑顔が咲くサッカースクール”を標榜。とにかく空気が明るい。その背景には、現在のジュニア年代の指導現場に感じる問題点が関係している。自身が育った名門・三菱養和SSを引き合いに出しながら、持論を語る。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

「この年代も強いチームは指導が厳しい。監督も勝たせたいから細かく要求するし、怒鳴ることもある。でも、あまりに厳しいと結果は出ても、子供の脳が固まって『これをやらなきゃ』と受け身になり、アイデアが生まれなくなる。引いてはサッカーが嫌になって辞めてしまう子も実際に見てきていた。だから、まずは年中、年長のキッズクラスはコートで、一緒に馬鹿して遊ぶだけでもいい。楽しくボールと遊ぶこと、グラウンドを駆け回ること、あとはとにかく笑ってほしい! 純粋にボールと触れ合って楽しむことで、サッカー自体が楽しくなり、自分から取り組むようになることで、どんどん成長し上手くなっていくんですよ。

 僕は三菱養和が日本一のサッカースクールだと思っています。小学生年代には“何も教えない”。遊んでいる子もいれば、黙々と練習している子もいる。でも、それでOK。監督もコーチも怒らない。それぞれが自分の思った方向に突き進んでいく。僕はビデオで上手い選手を研究して、グラウンドで発揮する。だから、どんどん上手くなれた。当時のコーチがいまだに現場で指導をしていて、『28年間、今も変わらず教えてるぞ』と言うんです。それでJリーグに多くの選手を輩出してますから。自分も吸収するために勉強がてら三菱養和に足を運んでいます。それに加えて、自分の色、多くの経験を直接伝えたいと思っています」

「楽しむ」が前提にあり、伸ばすのは「個」だ。練習前の挨拶、試合後の握手など、一人の選手として守るべきことは厳しく徹底するが、あとは自由な個性と発想を求める。「Jリーグだけじゃなく、世界に通用するような選手を出したい。『個』が突き抜け、人としても周りの意見に左右されない。自分で抜け出ていけるサッカースクールを目指している」と言う。そのヒントを与えられることが「馬場憂太だからできること」だ。

 互いに大人になった時、長谷部に「憂太には運がなかった」と言われたことがある。以来、ずっと考えていた。「長谷部にあって、自分になかったものは何だろう」と――。

「18歳から知っている長谷部がW杯でキャプテンマークを着けるなんて想像もつかなかった。彼との差は何だったのか。僕は世界を見ていなかった。Jリーグで活躍して、周りからチヤホヤされて……。彼は『俺は浦和でレギュラーを獲ってフル代表になる』と明確な目標があり、『早く海外に出たい』と話もしていた。先を見て、逆算して、日々の生活を送っていたんだと思う。僕はそこまで見えてなかったし、日本が大好きだったから」

 長谷部を上回るほどの才能がありながら、FC東京関係者には「生まれ持った天才なのに残念だ」と愛のムチを打たれた。しかし、当事者として経験した者にしかわからないことが“天才が育たない日本”で強みになる。

1 2 3
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
UNIVAS
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集