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ラグビー日本3連敗、続く試練のテストマッチ 強国に学ぶべきは選手然り、日本ラグビー全体でもある 

攻撃面での遂行力の低さも、この敗戦に大きく影響

 攻撃面での遂行力の低さも、この敗戦に大きく影響していた。敵陣22mラインを突破した回数とスコアをみると、フランスが13度の侵攻で8トライをマークしているのに対して、日本は9度の突破から2トライしか奪えていない。7度のスコア出来なかった内訳では、反則と相手のターンオーバーが6回を数えた。この遂行力の低さはチーム始動時からの課題ではあったが、チャンス時にスコアに繋げられない苦闘が9戦目のテストマッチでも続いている。

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 フランス相手にはフィジカル面でかなりの重圧を受け、戦況を読む力でも後手を踏んだ日本代表だが、試合後にPR竹内柊平(浦安D-Rocks)は、このような状況にこれからどう対応していくかを語っている。

「抽象的ですが、小さい所のスピードだと思っています。それは、ボールを貰う前にしっかりといいスピードで走り込むことなどです。1対1でぶつかれば負けてしまうなら、もっとスピードを持って走り込む必要がある。僕の場合、貰う瞬間に体がすこし浮いてしまう癖があるのですが、フランスなどの強豪国にはそれじゃ通用しないので、まずはしっかりと相手より速く、低い姿勢をとることです。そういう相手に打たれる前に打つ、先制パンチが、自分自身も含めた日本代表が強豪国にやるべき超速の一環なのかなと思っています」

 竹内の自戒と同時に、日本がフランスに格差を見せつけられたのは、やはり状況を読み取る判断力に尽きる。何度も引き合いに出すフランスの初トライだが、トライへと繋がる左展開で相手のSOトマ・ラモス(スタッド・トゥールーザン)は、日本の陣形をしっかり見てから左サイドに2人飛ばしのロングパスをしている。この状況からは、おそらくは事前に決めていたサインプレーというよりは、状況を判断した上で、いくつかの攻撃のオプションからパスを選んだのだろう。結果的に日本の薄いタッチ際のスペースを、グラバーキックも使って突いたWTBルイ・ビエルビアレ(ボルドー・ベグル)がトライを決めている。4本目のトライ前にも、ラモスは内側に引き寄せられた日本の防御網を瞬時に見抜いてタッチ際にキックパスを蹴り、捕球したビエルビアレが、日本の防御2人が詰めてきたのを見て、内側に駆け込んできたボルドーの同僚CTBヨエル・モエファナにパスして、その後にしっかりと追走してリターンパスを貰っている。

 フランスの選手とは対照的に、日本選手たちは攻守両面で目の前で起きている展開に反応することばかりに囚われているように見えた。後半32分にSH齋藤直人(スタッド・トゥールーザン)がPKから速攻を仕掛けた時でも、多くの選手が、素早いポジショニングや次の局面に備えるのではなく、齋藤のプレーを見てようやく動き出していたことは、課題の多さ、深刻さを感じさせた。

 長田は一例として「ラックが出来ることに対しての予測というのは意識の部分での慣習的なことだと思うので、直ぐに良くなるか分からないですが、長い期間意識し続けることで改善していけないといけない」と指摘していたが、次のフェーズへ自分がどう動き、どう働きかけるべきか、仲間にどんな指示をするかが不十分な中で、勝者がみせた複合的なポジショニングやサポート、組織的なムーブから学ぶべき要素はかなり多い。ここはニュージーランド戦から続く課題であり、まだ取り組むべき“宿題”は山積みのように感じさせられた。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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