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開会式を見て改めて考えた東京五輪 「新しい五輪」発信譲っても「もし放棄していたら…」揺るがぬ功績

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

東京大会を無事に開催した功績は大きい【写真:ロイター】
東京大会を無事に開催した功績は大きい【写真:ロイター】

「シン・オリンピックのミカタ」#8 「OGGIのオリンピックの沼にハマって」第3回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

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 今回は連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和と、五輪を含めスポーツを40年追い続けた「OGGI」こと荻島弘一氏が“沼”のように深いオリンピックの魅力を独自の視点で連日発信する。

 ◇ ◇ ◇

 五輪のたびに開会式は楽しい。その国、都市ならではの演出が、大会本番への期待感を駆り立てる。今大会は斬新だった。夏季大会で初の競技場外。セーヌ川での水上パレードも新しかった。レジェンドたちがつないだ聖火をリネールとペレクが巨大な気球に点火する演出、セリーヌ・ディオン復活の「愛の賛歌」も感動的だった。

 斬新すぎて正直、頭が追いつかないところもあった。テレビ映像はパレードからパフォーマンス、聖火リレーと次々と視点が変わる。同時多発的にいろいろなことが起こるから、資料が手元にあるはずの実況アナウンサーも混乱していた。従来の開会式に慣れ過ぎて「定形外」に戸惑った部分もあったが、これが「新しい五輪」へのスタートなのだろう。

 何よりも良かったのは、観客の存在があったこと。セーヌ川沿いには80もの大型モニターが用意され、有料の観客席だけでなく多くの人が生で見た。川沿いの建物のベランダから身を乗り出して船上パレードを見ている人も大勢いた。

 大きな拍手の音に、うらやましさを感じた。3年前、東京大会は無観客だった。華々しい演出の後ろには無人のスタンド、選手の背中に歓声は届かなかった。新型コロナのパンデミックという非常事態に、すべてが吹き飛んだ。「安心安全な開催」が最優先。「勝つこと」でも「参加すること」でもなく「開催すること」に意義があった。

 新しい五輪への試みは、数多くあった。廃棄スマホを材料にしたメダル、リサイクルプラスチックの表彰台、東日本大震災での仮設住宅の廃材で作られた聖火トーチ……。選手や観客への「お・も・て・な・し」も、選手の行動が制限され、無観客で空振りに終わった。

 スケートボード、BMXフリースタイルなど新しいスポーツは大会の目玉だった。チケットがなくても競技を楽しめ、選手とも触れ合える「アーバン・クラスター」を湾岸エリアに設ける計画があった。もちろん、中止。人々が密に触れ合う「賑わいの場」として呼んだ「クラスター」は、新型コロナ禍で負のイメージになった。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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