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新生ラグビー日本代表、原石たちの検証 エディー流にマッチする「超速」の申し子2人の可能性――山沢拓也&コストリー・インタビュー

山沢&コストリー以外にも可能性を秘めた原石たちが招集

 2人の「超速ラグビー」で期待される選手にスポットを当てたが、他にも可能性を秘めた原石が数多く宮崎に集められている。

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 スクラムの要となるFW第1列では、PR6人の合計キャップ数は12。代表戦経験者はわずか2人で、平均年齢24.8歳という若さだ。スクラムでの駆け引きなど「経験が物をいう」ポジションともいわれるが、ジョーンズHCは「タイトヘッド(右PR)は若い選手を育てる必要があると感じて選んだ。現代のラグビーでPRは、スクラムはもちろん、他にもタックル、ボールキャリーも出来ないといけない。そのために為房慶次朗(S東京ベイ)、森山飛翔(帝京大2年)を選んだ」と説明する。この6人の経験値で、世界でも屈指のスクラムを誇るイングランドに対峙するのはリスクも大きいが、3年後へのリターンを賭けた布陣といえそうだ。

 将来性では、トレーニングメンバーとして参加するFB矢崎由高(早稲田大2年)が存在感を見せる。ライン参加のタイミング、ボールを持った瞬間の加速力、そして視野も生かしたロングキックと、すでに代表メンバー35人に食い込めるポテンシャルをみせる。ジョーンズHCも「センス、ピッチ上でのコミュニケーション能力も素晴らしい。スピ―ド、勇気あるプレーも持っている」と評価は高い。7月のワールドラグビーU20トロフィーに挑むU20日本代表メンバーでもあるが、そのパフォーマンスを見る限りは、練習生から代表に“昇格”させて、テストラグビーという環境で能力を磨き込むのがベストチョイスだろう。矢崎自身も「U20の仲間と一緒に戦いたい気持ちと、正代表にステップアップしていくというU20代表の目指すものにも緒戦したい」と意欲を垣間見せる。

 5月のコラムでも紹介したWTBヴィリアメ・ツイドラキも父を継いで代表入りしたが、ジョーンズHCは「本当にポテンシャルを持っている選手で、スピードもある。より高いレベルの選手たちと厳しい競争をすることで、彼の良さがさらに磨かれると思う。ラグビーに臨む姿勢はファーストクラスで、良くなっていくしかないような選手」と評価。親子鷹となる代表デビューに宮崎で成長を続けている。

 若手を積極的に選んだ選手に対して、指導陣は経験豊富な顔ぶれを用意している。スクラム担当のアシスタントコーチはオールブラックスで108キャップを誇るPRオーウェン・フランクス。テクニカルアドバイザーのヴィクター・マットフィールドは世界最強軍団・南アフリカ代表LOとして127キャップのレジェンドだ。デイビット・キッドウェル・アシスタントコーチはリーグラグビー仕込みのタックルを落とし込むエキスパートと、多士済々のキャリアを持つ人材を、オーストラリア代表でもジョーンズHCとコンビを組んだ、イングランド出身のニール・ハットリー・コーチングコーディネーターがまとめ上げる。

 ジョーンズHCは「オーウェン、ヴィクターは世界でベストな選手。たくさんの経験を選手に共有させてくれる。コーチ陣は、南アフリカ、ニュージーランド、リーグラグビー、イングランドなどそれぞれの持ち味を統合して日本代表のアイデンティティを作っていってくれるだろう」と世界中から集めたスタッフに期待を込める。若い桜の戦士たちを、経験値は抜群のコーチが磨き上げて、3年後の世界トップ4入りという開花宣言に挑む。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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