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年間授業料1400万円、錦織圭ら輩出したIMGアカデミーは高いのか 米国名門スクールの相場と実情

他のボーディングスクールの学費の比較、強豪大学への進学指導を考えると…

 アメリカの大学はSAT等の学力テストの結果だけを評価対象にしているのではなく、学校での成績、さまざまな活動の記録、エッセイなども評価する。それだけに、こういったボーディングスクールは、大学が求めてくるさまざまな評価の対象を、個別にきめ細かくサポートし、進学指導できるのが特徴だ。

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 それはIMGアカデミーも同じである。IMGアカデミーは将来的にプロアスリートを目指す生徒も多いだろうが、ほとんどの生徒にとっての最初のクリアするべき目標はNCAA1部の強豪校でプレーすることである。だから、高校生アスリートの大学進学を手厚くサポートしている。

 筆者は昨年3月にIMGアカデミーのバスケットボール部のコーチに話を聞かせてもらう機会を得た。IMGのバスケットボールは18チームに分かれており、バスケットボール部に関わるコーチ、スタッフは総勢で40人にのぼるという。これだけのコーチがいれば、よりきめ細かい指導が受けられるのは当然だが、このIMGアカデミーのバスケットボール部の組織力は進学相談に際しても力を発揮する。この40人の個々の人脈をあわせると、米国内のほとんどの大学のバスケットボール部と何らかのつながりがあるという。

 当然ながら、人脈やコネクションだけでIMGアカデミーや高校生アスリートたちが進学先を見つけられるわけではない。本人の能力が評価されなければ、強豪大学への進学はかなわない。それでも、組織的なネットワークがあることで、高校生アスリートの希望する大学と、その大学が求める選手がマッチするかを事前に知ることができるし、ひとりひとりの高校生アスリートがどの大学を選べば、最も力を発揮できるかという進路相談の際により具体的なアドバイスができる。

 アメリカのトップのボーディングスクールの学費は先に年間7万ドル前後としたが、こういった学校で進学準備しながらも、個別に「カレッジカウンセラー」と契約して名門の超難関大学を狙う生徒もいる。こういった民間のカレッジカウンセラーのなかにはかつて名門大学の選考職についていた人もおり、その費用は、1時間200ドル(約3万円)は下らず、最終的には数万ドルを支払うこともある。

 IMGアカデミーの学費は、他のボーディングスクールの学費の比較、強豪大学への進学指導の手厚さを考えれば、それほど高くない。しかし、ほとんどの一般家庭にとっては非現実的な金額でもある。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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