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岩井千怜「楽しませたい」の原点は父の言葉 「まずは自分が楽しみなさい」が生んだ記録的完全V

父・雄士さん「クラブをバーンって叩きつけるのは嫌ですよね」

「月1ゴルファー」の雄士さん。姉妹は小学1年から陸上をしていたが、父の練習について行ったことをきっかけに8歳でクラブを握った。体を動かすのが好きな愛娘たちに言って聞かせていたという。

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「私と妻は小さい頃からずっと言っていました。自分が楽しくゴルフをしなさいと。見ていてそう思うでしょう? クラブをバーンって叩きつけるのは嫌ですよね。陸上でも、ゴルフでも、スポーツは『全てチャンスが回ってこい』と常に思うように。小さい頃から『負けていたら逆転を信じてやれ』と、ずーっと言っています」

 この日の16番、151ヤードのパー3。千怜は「ここでナイスショットなら、私かっこいいな。ここで魅せたい。歓声も聞きたい」と、サイドに池が待つ中で攻めた。2メートルにつけてバーディー。後続を突き放し、優勝をたぐり寄せた。

「(ネガティブに)考えれば考えるほど悪くなるのがこのスポーツだと思います」。明愛も第2日の12番第2打で直ドラを披露。2オンはならずパーだったが、確かにギャラリーを魅了した。

 大会アンバサダーの宮里藍さんは千怜について「本当に強かった。頼もしいですね」と称える。大会記録を生んだバーディー合戦の1週間。「見ている方が楽しんでくださる熱いプレーが嬉しかったです。(会場は)ジュニアの人数も多い印象。『ああいうプロになりたい』と思える瞬間になったんじゃないですかね」と喜んだ。

 表彰式では、宮里さんに優勝ジャケットを着せてもらった千怜。「おめでとう。カッコよかったよ」。祝福の言葉で今週最もテンションが上がった。「凄いキラキラしていますし、改めて憧れの人だなって思いました」。2年前のアマチュア時代にも出場。当時、記念写真を撮ってもらう前、面識がないのにLINE交換を申し出た。

 宮里さんは「写真よりそっちが衝撃でした」と笑う。しかもその後、千怜から音沙汰なし。「なんで交換したんだろうと思います。イマドキの子だなって(笑)。本当に壁がなく真っすぐな人」。そんな強心臓ぶりも魅力の一つかもしれない。

 千怜は優勝で、明愛はメルセデス・ランキング4位のため、8月の海外メジャー・AIG全英女子オープンの出場権を獲得した。すでに決まっている7月の全米女子オープンに続き、姉妹揃って戦う大舞台。千怜は「2人で出るのは1人より100倍嬉しい。2人でもっともっと強くなりたい」と胸を躍らせた。

 今季の女子ゴルフ界に旋風を巻き起こす双子姉妹。海外での躍進にも期待が高まる。どんなプレーを望むのか。父は一言に込めた。

「楽しもうよ。それだけです」

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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