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練習しすぎで「明日が憂鬱ではいけない」 日本で高校生指導、元Jリーグ助っ人が説く大切なこと

楽しく伸び伸びとプレーする環境を大切にするストヤノフ氏。練習中の選手の表情も明るい【写真:相生学院】
楽しく伸び伸びとプレーする環境を大切にするストヤノフ氏。練習中の選手の表情も明るい【写真:相生学院】

高校生年代では「良いプレーをして負けたなら全然問題ない」

 現役を退いてから、山口県で「FCストヤノフ・サッカーアカデミー」を創設した。

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「でも山口では野球人気が高くて、生徒を集めるのが大変だった。昨年のカタール・ワールドカップで日本代表が活躍したから、だいぶサッカー人気が野球に迫っているとは思うけどね」

 カタール・ワールドカップで戦う日本代表の試合を見て、ストヤノフは彼らが醸し出す一体感に感銘を受けた。

「優れたチームを作るためには、みんながファミリーのように結束しなければならない。日本代表はそれができていたし、僕がプレーした頃の千葉もそうだった。社長からスタッフまで、みんな温かい関係で繋がっていた。これは凄いこと。だから強かった」

 一方で、目標だったベスト8を懸けたクロアチア戦での明暗を分けたのは「経験だった」と指摘する。

「クロアチアはルカ・モドリッチをはじめ、一部のベテランが欧州トップレベルのチームで何年間も経験を積み重ねていた。日本との違いはそこだけ。日本にも凄く良い選手がたくさんいる。でも、もう少し自分たちを信じる力があれば、勝てていたかもしれない」

 今春からストヤノフは、兵庫県淡路島にある相生学院高校サッカー部で指導に携わっている。

「チームとして勝とうとするより、選手たちを育成する。その考え方が気に入ったんだ。高校生年代では、サッカーをよく勉強して、考えてプレーすることが大切です。サッカーだから、当然勝つこともあれば負けることもある。でも、もし良いプレーをして負けたなら全然問題ない。18歳までにしっかりとした基盤ができていれば、たぶんプロになって35歳前後までプレーすることができる」

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イリアン・ストヤノフ

元ブルガリア代表DF 
1977年1月20日生まれ。ブルガリア出身。現役時代は高い技術を備えたセンターバックで、母国の名門レフスキ・ソフィアなどで活躍すると、ブルガリア代表として2004年のEUROに出場した。2005年にジェフユナイテッド千葉に加入。イビチャ・オシム監督の下でリベロとして存在感を示すと、同年のナビスコカップ(現ルヴァンカップ)初優勝に貢献した。2007年からはサンフレッチェ広島、2011年からファジアーノ岡山でプレーしスパイクを脱いだ。引退後も日本に留まり、山口県でFCストヤノフサッカーアカデミーを開校。2021年にはカマタマーレ讃岐コーチを務め、今年から相生学院高校サッカー部のコーチに就任した。

加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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