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「社会で生きていく力」が身についた 朝原宣治、大学時代の飛躍支えた「自分主体」の部活環境

現役生にエール、大学時代の仲間は「一生付き合う仲間になる」

 たしかに環境を得られたのは大きかっただろう。ただそれを生かせたのは、朝原氏の「自分が頑張らないと」という自覚にほかならない。

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 いわゆる学生の部活らしい部活を過ごしてきた朝原氏は、一方で学生時代の経験から「社会で生きていく力」を身につけることができたという。

「同志社大学は、スポーツで頑張っていても融通がきくわけではないので、当たり前ですが、テストなりレポートなりを、やらないといけなかったりしました。そういうところで一般常識というか社会人になった時の必要なことを得られたように思います。卒業したあと、スポーツ選手ではあっても、ちゃんとしないといけないという常識がありながらアスリートをやっている感覚があったので、そこは良かったと思います。

 いずれ選手たちも社会に出ないといけないわけです。しかも社会人になって競技を続けていくのも簡単なわけではありません。それを考えても、学生のうちにスポーツだけでなく社会で生きていく力をつけることは重要ですし、陸上は個人競技なので自分の道を行く、という選手も多いけれどコミュニケーションが苦手であると社会に出てから大変であることも頭にあるといいように思います」

 同志社大の部活の環境、勉学の環境を経て、身につけられたことはほかにもあると言う。

「自分で計画を立てたり、目標に向けて、今どのあたりに自分がいるかの自己分析や把握ができないと、学業もそうかもしれないですけど、選手としても結果が出ないですね。指導者に全部任せるのではなく、ある程度は自分でいろいろマネジメントしながら取り組むのが大事です。勉強もまじめにしたかは怪しいけれど、そういう部分は養ってこられたと思います。やっぱり主体を自分でしっかり持って取り組むのが、学生でも大切ですから」

 学生時代を語る朝原氏は、最後に部活動に励む現役の学生にエールを送った。

「学生の時にずっと一緒に過ごす仲間って大事だと思います。特に大学時代の仲間というのは一生付き合う仲間になります。そういう仲間を本当に持ってもらいたいです。特に関東のインカレの盛り上がりは関西の大学出身者にとっては羨ましいですね。そういう大会も含め、学生の時にしか味わえない一体感を味わってほしいです。欲を言えば社会とのつながりも持ってほしいです。そういう経験や自信を経て社会に出ていくという点では、大学スポーツは素晴らしいなと思います」

(松原 孝臣 / Takaomi Matsubara)

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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