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「オラァ!何や今の!」 勝っても響いたオヤジの怒号、世界王者・重岡兄弟に根付くKO主義の原点

両親への感謝を語る優大(左)と銀次朗【写真:荒川祐史】
両親への感謝を語る優大(左)と銀次朗【写真:荒川祐史】

両親への想いとは、優大「母親には心配をかけた」銀次朗「大好きです」

 銀次朗は空手で体の大きな相手によく負けたが、ボクシングでは勝ち続けた。U-15全国大会を制し、熊本・開新高では全国5冠。アマチュア57戦のうち唯一の1敗は、兄と対戦した高校1年時のインターハイ県予選決勝。初回のゴング直後に棄権したため、事実上は“生涯無敗”だった。優大も高校4冠を達成。拓殖大では2018年に全日本選手権を制し、プロに転向した。

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 勝ち続ける中でも、2人は父の教えを忘れたことはない。ともにワタナベジムに入門。先にプロデビューした銀次朗は、4戦目に開始72秒の左ボディー一撃でKO勝ちを飾り、WBOアジアパシフィック(AP)王座を獲得した。同王座を2度、日本王座を1度防衛。身長153.5センチながら、ミニマム級離れしたパワーで“魅せて勝つ”を貫いてきた。

 160.8センチの優大もデビューから世界戦前まで6勝(4KO)。KOは全て5ラウンド未満で決め、デビュー戦は2回2分16秒だった。

 この日、母は終始ハンカチで目元を拭いながら兄弟の試合を見守っていた。最高の親孝行を届けた2人の息子。会見でマイクを通った声には温かみがあった。

優大「父親は俺たちの一番最初の指導者。全ての始まりが父親だった。練習でサボらない、手を抜かないことを教わった。それが根本にある。いつも本気を出して練習するし、ボクシングに対するそういう面をガキの頃から俺たちに叩き込んだ。そのおかげで俺たちがここにいる。

 母親はやっぱりいつもそんな感じ。いつも泣きそうになりながら見守ってくれて、本当は小さい頃からやってほしくないと思っていたと思う。結構、心配をかけた。不安だったと思う。(目を潤ませ)俺もすぐに泣きそうになっちゃう(笑)」

銀次朗「一番最初に誰に感謝をしたいかと言ったらやっぱり親です。俺らをつくったのはオヤジ。ここまで基礎をつくってくれて、ボクシングをやる兄弟になった。そのおかげでここまでいいボクシング人生を送れている。本当に親に感謝です。お母さんは……大好きです」

 照れながらも世界王者になった節目に感謝を伝えた。亀田3兄弟、井上尚弥&拓真に続く日本3組目の兄弟世界王者。次に2人が狙うのは正規王者との団体内統一戦だ。「最軽量級はつまらないと思われがちだけど、俺たちは倒せるパンチがある。俺たちはどこまでも強くなって上を目指す」と優大。魅せるボクシングを貫きながら、2人でミニマム級を制圧していく。

〇…今回、優大はWBC王座に世界初挑戦する予定だったが、王者パンヤ・プラダブシー(タイ)がインフルエンザに感染。中止となり、急きょ、対戦相手がメンデスに変更され、暫定王座決定戦になった。銀次朗は1月、IBF王者ダニエル・バラダレス(メキシコ)に世界初挑戦したが、優勢に進んでいた3回に偶然のバッティングで王者が負傷。試合続行不可能となり、無念の無効試合に終わった。

 劣勢だった王者が故意に負傷を狙う作戦に出たことが疑われるなど、物議を呼んだ一戦。銀次朗は再戦を目指したが、バラダレスが左鼓膜負傷を訴え、クアルトとの暫定王座決定戦になった。プロ戦績は26歳の優大が7勝(5KO)、26歳のメンデスが18勝(6KO)3敗、23歳の銀次朗が9勝(7KO)1無効試合、26歳のクアルトが21勝(12KO)4敗2分け。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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