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「給料は安いが…」 欧州クラブ幹部の日本人、若手にオーストリア移籍を勧める理由

給料が安いからこそ「違約金も高くない」

 現在リンツで大ブレイク中の中村敬斗が「ドイツを目指すならオーストリアですよね」と語ったのも理に適っており、実際目標には限りなく近づいている。

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「欧州には55のリーグがありますが、オーストリアは予算規模では18位程度。Jリーグとほとんど変わりません。トルコやクロアチアと比べても年間予算は少ないので、給料は安いけれど、だからこそ違約金も高くない。非常に費用対効果の高い国なので、日本も参考になることは少なくないと思いますよ」

 最近は日本人選手たちの欧州進出に拍車がかかっているが、オーストリアはそれを凌駕する輸出国だ。だが日本のように、国内リーグに働き盛りの代表選手がほぼ不在という空洞化現象は起こっていない。次回はその理由を探っていく。(文中敬称略)

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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モラス 雅輝

ザンクト・ペルテン テクニカルダイレクター 
1979年1月8日生まれ。東京都調布市出身。16歳でドイツへ単身留学、その後指導者の道へ進む。オーストリアサッカー協会のコーチングライセンスを保持し、男女のトップチームや育成年代を指導してきた。2008年途中から10年まで浦和レッズのコーチ、19年6月からはヴィッセル神戸コーチとなりクラブ史上初の天皇杯優勝を経験した。21年からは再びオーストリアに戻り、22年7月にザンクト・ペルテンのテクニカルダイレクターに就任した。

加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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