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「期待されないのは寂しい」 レスリング藤波朱理、116連勝中の“重圧ない”と語るワケ

「レスリングは自分にとって人生」と4歳から続ける競技への熱い想いを語った【写真:積紫乃】
「レスリングは自分にとって人生」と4歳から続ける競技への熱い想いを語った【写真:積紫乃】

日体大での競技を超えた交流

 もう1つは周囲の存在をあらためて確認できたことだと言う。

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「怪我した時、応援してくれている人が思っているよりも本当にたくさんいるんだ、と感じました。自分1人じゃないんだ、というか」

 励ましなどの言葉をかけられるなかで、その思いは強まっていった。だから今は、こう語る。

「勝った姿を周りの人が喜んでいるのを思い浮かべて、頑張るようにしています」

 傍らで見守っていた父でありコーチの俊一も、こう語る。

「練習できなくなれば、それは誰でもストレスは溜まりますよね。ただ捉え方だと思います。どういうふうに立て直すも何も、怪我を治すしかないわけで、そこから次に向かっていくしかない。むしろオリンピックじゃなくて良かったな、ラッキーだったとも言えます」

 復帰した後も変わらぬ強さを発揮していることは、結果が物語っている。

 この1年、競技環境が充実していたことも大きい。

 昨春入学した日本体育大学では、先にコーチに就任していた俊一にも継続して指導を受けている。

「技術面で指導を受けることはあまりないですが、細かな技術を一緒に考えてくれたり」

 同居生活を送るなかで、俊一が食事を作るなどサポートしているのもプラス材料だ。

 さらに環境面について、朱理はこう語る。

「トレーニング施設も充実していますし、レスリング以外にもいろいろな競技の強い方、オリンピアンがたくさんいます。それが入学したいと決めた理由です」

 競技を超えた交流もある。

「(東京五輪柔道52キロ級金メダルの)阿部詩さんにご飯に連れて行ってもらうことがありました。その時にオリンピック前のことや試合での気持ちの持っていき方を聞きました」

 そもそもレスリング部には五輪金メダリストのコーチもいる。伊調馨だ。

「馨さんと話していて、試合の前は緊張していたと聞いて、『あの馨さんでも緊張するんだ』と意外で、馨さんでも緊張するんだ、馨さんのプレッシャーに比べれば自分はまだまだ全然だ、と感じることもありました」

 第一線で活躍しオリンピックで実績を残してきた人々と接するなかで、糧を得てきた。

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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