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アンダーアーマーがランニング市場に本格参入 走り指導のプロ・秋本真吾との新たなる挑戦

アスリートのシューズに対する意識に課題

 これまでトップアスリート500人以上の指導経験がある秋本氏は、現在もプロ野球の阪神、西武、そしてJリーグ2部のいわきFCで指導。東大ア式蹴球部に加え、新たに大学サッカー部と契約する予定で、東京の実力校・大森学園高サッカー部など、続々とオファーが届いている。

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「走りを教えてもらいたい人が増えているのは事実。個人の選手を指導していると、そのチームメートも見てもらいたいと言ってくることもあります。興味・関心が高まっていて、なおかつ僕以外のスプリントコーチの人たちのオファーも明らかに増えている。もちろん、まだまだであることは間違いないです。ただ、11年前に僕がスプリントコーチになるんだと決めて歩み始めた。早かったか遅かったかは分かりませんが、スプリントコーチと名乗る人も増えて確実に変わってきています」

 スプリント指導をする中で課題に感じることもある。走ることに関心を持っても練習やトレーニングで履くシューズにまで高い意識を持つアスリートはまだ少ない。

「トップアスリートも(最適なシューズを)全然履いてない。例えば、サッカーや野球は(実際に試合で履く)スパイクがすべてと思いがち。特にサッカーはその傾向が強いと感じます。そもそも『最初からスパイクを履いてやるものでしょ』くらいの感覚で、契約しているメーカーから提供を受けたものをそのまま履いているだけという選手もいるし、ランニングシューズを重要と思っていません。

 陸上選手の僕らであれば、提供されたものでも微妙だったら自分で買う感覚はあるし、それほど自分が履くシューズについてはこだわります。とてつもなく量を走る練習にも合わないものを履いて足が痛いと言う選手もいる。状況ごとに適したシューズの知識もある。野球でもランニングシューズを何足も持っている人は僕が指導している内川(聖一)さん(九州アジアリーグ・大分)くらいです」

 今回のプロジェクトを通じて、アスリートにもっとシューズに対して意識を向けてもらうことも重要な使命の一つだ。

「まずはアンダーアーマーの価値を高め、一緒にそういう世界観を実現しましょう、というところが前提です。加えて、トップアスリートが走りを学んでいくと、シューズに対して敏感になっていく。そして、それを下の世代が必ず見ています。だから、ユース世代やジュニア世代が彼らを真似するという流れになっていきます。子供たちはトップアスリートをよく見ています。

 シューズって1足だけじゃ駄目なんだ、もっと興味を示さないと駄目なんだ、という流れや文化がスポーツ界にできていくのはすごく大事です。子供たちが怪我なく、長くそのスポーツを続けてもらうためにも『シューズ選びって大事じゃん』というところを僕らが伝え、トップアスリートが実践し、それを子供たちが見て……という環境にしていけたらいいと思っています」

 4月からプロジェクトに紐づいたアプリも始動させ、主に速く走る土台作りのトレーニング方法、走る技術を高めるためのスプリントドリルに加え、これらを行う上で知っておくべき走りの理論という3つの軸で当面は情報発信していくという。

 秋本氏は「今回、このプロジェクトで組んだ理由も、僕とアンダーアーマーが思い描いていた世界観と全く同じだったということ。アンダーアーマーが実現したい社会が、僕らが実現したい世界として一致している。そこが一緒になったからやるし、叶えていきたいと思っています」と決意を述べた。

■秋本 真吾 / Shingo Akimoto

 2012年まで400mハードルのプロ陸上選手として活躍。北京オリンピック強化指定選手にも選出。当時200mハードルアジア最高記録を樹立。引退後もマスターズ陸上に出場し、2018年世界マスターズ陸上400mハードルで7位入賞。2019年アジアマスターズ陸上100mと4×100mリレーで金メダルを獲得。引退後はスプリントコーチとしてプロ野球球団、サッカー日本代表選手、Jリーグクラブ所属選手など500人以上のプロスポーツ選手に走り方の指導を展開。2021年からサッカーJ2・いわきFCのスプリントコーチに、2023年から東京大学ア式蹴球部(サッカー部)のスプリントコーチに就任。

(THE ANSWER編集部)

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