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選手の失敗は「自分の責任」 部活指導の外国人監督、徹底して高校生を擁護した理由

小数主義から一転、約120名の大所帯の部活へ進化

 三十路を迎えた上船は、ペイトンの指導の要諦を引き継ぎ前進していこうと決意を固めている。

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「試合に負けた時に『ごめんな、オレがあの練習をやらせておけば良かったな。明日から一緒に頑張ろう』と言ってあげられる。そんな人間が監督なら、みんなもついていこうと思うはずです。個々をしっかりと観てあげて『おまえは、ここが良いから継続していこう。あとはこの部分を頑張っていこう』と、そんな声かけができる指導者になりたいと思っています」

 今年度の新入生を迎え入れると、相生学院は今までの少数主義から一転して、120名前後の大所帯になる。この部員をランダムに戦術別にチーム分けをして、毎週月曜日には「淡路プレミアリーグ」と称して実戦を繰り返し強化していく。すでに新2年生のなかにはJクラブへの練習参加を要請されている選手もいて、在学中にプロ契約をすればチームとしては大きな戦力ダウンになる。

「でもそういう話があれば、在学中でもどんどんプロへ行かせます。しかし残ったメンバーは、チームのために結束してタイトルを獲りにいく。今後はそういう活動を続けていきます」

 25歳で新プロジェクトを起ち上げたアイデアマンは、まだまだ新境地を切り拓く意欲に満ちている。(文中敬称略)

■ジェリー・ペイトン(Gerry Peyton)

 1956年5月20日生まれ、元アイルランド代表GK。現役時代はフラム、ボーンマスなどイングランドのクラブを渡り歩き通算600試合以上に出場。アイルランド代表として88年のEUROと90年W杯のメンバーに名を連ねた。引退後は指導者の道へ進み、94年からはジュビロ磐田で、95年からはヴィッセル神戸でGKコーチを務める。2003年からは名将アーセン・ベンゲルの下、アーセナルで15年を過ごし数々の世界的なGKを育てた。18年からは清水エスパルスでコーチを、21年からは兵庫県の相生学院高校サッカー部監督などを歴任。23年シーズンはJ1横浜FCのセットプレーコーチ兼アナリストに就任した。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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