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スペイン育成年代にもある“毒親”問題 「サッカーパパ」がすべきでない5つの行動とは

スペインにおける「サッカーパパ」5つのタイプ

 スペインで「サッカーパパ」は、大きく5つのタイプに分かれる。

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[1]タクシーパパ
 彼らは子供の送り迎えに徹する。サッカーに夢中になる我が子を愛し、単純に送り迎えし、そっと支える。他の子供たちのことやコーチの指導に対しては口を挟まない。温和で穏やかな人が多く、サッカー経験は乏しい場合が多いだろう。理知的なタイプとも言えるが、物足りなくも見える。

[2]頑張れパパ
 タクシーパパよりも声援に力を入れ、よりプレーに一喜一憂する。しかし基本的には、頑張ったら褒めることに終始。あくまでポジティブな姿勢で、本人を支え、周りとの比較はしない。子供への愛情も深く、思わず声援に力が入るが、攻撃的行動を取ることはなく、周りと軋轢を生むことが自分の子供のためにならないのを知っている。

[3]積極的パパ
 息子のためを思って、積極的にプレー面にも関与する。時に勝敗も重んじ、そこに一つの基準があり、どうしたら勝てるのか、上手くなれるのかを悩む。サッカーを研究し、子供にもアドバイス。上手くなるためのトレーニングを提案したり、一緒にやったりもする。思い余って、コーチや他の子供の親に、サッカー論をぶつけてしまうこともあるが、その後で反省。積極的ではあるが、分をわきまえている。自身がサッカー経験のあるパパに多いタイプだ。ネガティブに転じる場合はあるが、チーム全体への意見がポジティブな影響を及ぼすこともあり、諸刃の剣か。

[4]モウリーニョパパ
 世紀の戦術家、ジョゼ・モウリーニョ気取りのパパを指す。モウリーニョは周りと敵対しても自らの考え方の正当性を示し、結果を出してきた。反面、やや攻撃的な人物とも言える。その点、周りを不快にさせることもしばしばで……。モウリーニョパパは妄想が激しい。自分の思ったように戦えば、もっといいチームになって息子も活躍できると信じている。純粋な思いだけに質が悪く、否定的な空気を出すことで子供も悪影響を受ける。頭でっかちの戦術論を振りかざし、自分の子供に伝えるだけでは事足りず、コーチにも頻繁に意見する。勝敗にも喜怒哀楽を激しく示し、負けて良いプレーができないと不満を露に。愛息への思いがなせる業だけに周りも宥めすかすのだが、激情型で思い込みが強く、使命感に似た主張を繰り返す。

[5]シメオネパパ
 ディエゴ・シメオネ監督は、強力な勝者のメンタリティの持ち主で、それによってアトレティコ・マドリードにいくつものタイトルをもたらした。選手だけでなく、スタジアムをも巻き込むようなアクションで、熱量は凄まじい。言葉を荒げることもあるが、戦闘モードにできる。シメオネパパは、ハイテンションで子供に接する。負けることを許さないし、その思いが余って論理的でない。端的に言えば、「なんであんなプレーをするんだ!」と感情で怒鳴る。子供を委縮させ、嫌な空気を作り出す。時に、審判や相手チームの選手にも言葉が行きすぎる。シメオネは天才的モチベーターである。彼が人生の中で培ってきた重みで、その怒号も成立しているのだが……。

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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