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日本ラグビーは「独特な世界」 社員選手かプロ転向か、揺れる若手選手のキャリア選択

将来的なプロ化も視野に入れた変革を目指す日本ラグビー界での代理人ビジネスの現状を、これまで2回にわたり紹介してきたが、最終回は日本人選手のプロ契約に関わる課題をチーム、エージェントらに聞いた。若手や、これからリーグワン入りを目指す大学生ら日本人選手からもプロ契約を求める声が高まっているが、そこにはセカンドキャリアなども踏まえた日本ラグビーの、将来への懸念材料や課題が浮かび上がる。(取材・文=吉田 宏)

最終回は日本人選手のプロ契約に関わる課題について【写真:Getty Images】
最終回は日本人選手のプロ契約に関わる課題について【写真:Getty Images】

「リーグワンと代理人の今」後編、日本の若手選手で増えるプロ契約希望者

 将来的なプロ化も視野に入れた変革を目指す日本ラグビー界での代理人ビジネスの現状を、これまで2回にわたり紹介してきたが、最終回は日本人選手のプロ契約に関わる課題をチーム、エージェントらに聞いた。若手や、これからリーグワン入りを目指す大学生ら日本人選手からもプロ契約を求める声が高まっているが、そこにはセカンドキャリアなども踏まえた日本ラグビーの、将来への懸念材料や課題が浮かび上がる。(取材・文=吉田 宏)

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 前編、中編と自身もエージェント業を営む小林清に日本ラグビー界の現状や課題を聞いたが、仕事を続けるなかで違和感を抱いていることがあるという。日増しに高まるプロ希望の日本人選手の数だ。プロ契約を希望する選手の具体的な人数は算出されていない。リーグワン側の概算では日本人選手のプロ契約は“横ばい”という意見も聞くが、水面下での相談なども踏まえた現場での小林の感触は異なるようだ。

「日本人選手から最近、プロ転向の希望が多いんです。若手社員選手がプロになりたい、年俸1000万、2000万欲しいと言ってきます。学生で、いきなりプロを希望する選手も少なくない。その選手の現在の能力を考えると、結構『えっ?』と思うケースが多いんです。日本代表やジュニアジャパン(準日本代表)に入ったとか、高校ジャパンだったという、ある程度の篩にかけられてきた選手が、(外国人選手の年俸高騰に)引きずられてプロになりたいと言っているように感じます」

 海外トップ選手やカテゴリAの留学生選手などと同じチームでプレーするなかで、プロへの憧れを感じるのは自然なことだろう。日本代表でも、所属チームでプロ契約に切り替える選手は後を絶たない。そのなかで、自分も同じようにプロ契約に変更したい、プロ選手の道を歩みたいという選手が増えているという。だが小林は「そういう選手の話を聞いていると、本来なんのためにラグビーをやっているのかを忘れているような気もします。僕がチームスタッフ、エージェントをしながら接するなかでも、会社に対する帰属意識がないし、社員に対する感謝の気持ちとかも、すごく薄れてきている選手が多いと感じています」と危機感を明かす。

 本コラムの中編で、あるチームのGM(ゼネラルマネジャー)が使った“帰属意識”という言葉を、奇しくも契約交渉ではチームと対峙するエージェントの小林も使っているのには驚いたが、双方で同じような問題を感じているということだろう。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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