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“ドラゴン”久保竜彦に訪れた転機 運命のマリノス移籍を決めた名将・岡田武史の言葉

横浜F・マリノスが完全優勝を決めた伝説のゴールが生まれた理由

 それでも雨の横浜国際競技場(現日産スタジアム)を懸命に走る男たちがいた。

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「岡田さんは『最後まであきらめるな』と常日頃から言い続けていました。子どもの頃や、プロになってからもサンフレッチェで同じことを言われていましたけど、あれだけ何度も何度も、しつこく、いろいろな話でそれを伝えてきたのは岡田さんだけ。鮮明に覚えているのは煙突の工事をする人のエピソード。職人さんは煙突を上がってパッパッと仕事をして降りてくる。でも降りてきて、最後の2~3段で怪我をする、と。最後まで気を緩めるなという意味だと思いますが、見方を変えると『最後まであきらめるな』という解釈ができる」

 そして、あの伝説のゴールが生まれる。

 途中出場のGK下川健一のゴールキックを松田直樹が足に当て、アバウトながら磐田ゴール前へ放り込む。DFが処理に戸惑っている隙に颯爽と現れたのが久保だ。

「マツは適当に蹴ったと思うけど、あいつはそういうセンスがあったから。最初からそのボールに飛びついてしまうと相手にダイレクトでクリアされてしまうので、そういう素振りを見せないで『ボールを落とせ』と思っていました。そうしたら本当にボールをバウンドさせたので、もう無我夢中で飛びついて」

 DFに競り勝った久保のヘディングシュートがGKの頭上を越えてゴールネットに吸い込まれていく。Jリーグ史上に残るゴールが決まった瞬間だ。

「最後の最後で、たまたまやけどね。でも自分はめちゃくちゃ狙っていたし、たぶんマツもああいう展開を狙っていたと思う。あの時もマツに対して『上がるな!』という声と『上がれ!』という声が飛び交っていたけど、マツは自分の判断で勝手に前線へ上がってきて(笑)。マツは周りの話を聞くタイプではなかったし、自分も岡田さんに怒られてばっかりだったけど、あきらめない姿勢は身体に染み込んでいたのかな」

 いまは亡き戦友とともに勝ち取った完全優勝。それは武骨なまでに勝利を信じ、あきらめない姿勢が生んだ奇跡だったのかもしれない。

「ほんのちょっとの差があのゴールになった。最後まであきらめないという姿勢を本気でやれた。あんなことが起きたから、あきらめない重要性はいまでも忘れていない。それにしても、当時はワガママとかアホとか、おもろい選手が多かった。それがマツのように実際のプレーに出るしね。いまはみんな綺麗に整えられていて、ゲームの中の選手の動きみたい。技術的に上手いのはいまのほうが確実に上手いけど、ちょっと整えられすぎているよ。また面白い選手が出てきたJリーグも盛り上がるだろうね」

 Jリーグのニュースター登場を切に願いながら、笑う。

 その様子は「豪快」を代名詞とする久保竜彦そのままだった。

■DAZN生配信
【4月16日(土)】第9節
13:00キックオフ/北海道コンサドーレ札幌vs FC東京

【4月17日(日)】第9節
14:00キックオフ/ガンバ大阪vs湘南ベルマーレ
15:00キックオフ/鹿島アントラーズvs名古屋グランパス
15:00キックオフ/サガン鳥栖vs 清水エスパルス
16:00キックオフ/ジュビロ磐田vsサンフレッチェ広島
17:00キックオフ/アビスパ福岡vsセレッソ大阪
19:00キックオフ/柏レイソルvs京都サンガF.C.

【4月20日(水)】第2節
19:00 キックオフ/FC東京vs名古屋グランパス

(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)

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